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推しが彼氏、だけどそこにあるのは対等な愛。

世の中の恋人たちが衝突する一番の原因は「合意無き期待によるもの」らしい。

「やってあげたのに!」「普通ならこうするのに!」そんな誰も約束していない勝手な期待が自分はもちろん、相手を傷付けるのだ。

頭では理解できていても、自分がしたことに対してはお礼を言われたいし、できれば自分が意図する行動を相手に望んでしまうもの。

だけど『ジェンダーレス男子に愛されています。』というマンガを読んでいると、その合意無き期待の核たるものがなんとなく分かった気がした。

世界一カワイイ彼氏と、彼氏を推す彼女の物語

ジェンダーレス男子に愛されています。』は、pixivコミックで大反響を読んだ、ためこう先生の恋愛ラブコメディ作品だ。

SNSでスター的人気を誇るジェンダーレス男子・めぐると、ごく普通の一般的な会社員・わこ。そんな2人の日常生活を描いた本作は、見た目のバランスより何より、わこが彼氏のめぐるを「推し」として讃えているところが特徴的だ。

あまりにも推しすぎて、めぐるのSNSの写真はわこが監修を行うほど。そして、2人で旅行へ行ってもわこは、めぐるの彼女が自分だとバレたら、めぐるのイメージを壊してしまう!と言って距離を取って歩きカメラマンの如く彼を激写する...。

そのわこのあまりの徹底ぶりに、アイドルや歌手、アニメのキャラクターといった「推し」がいる人は、わこに思わず感情移入してしまうのではないだろうか。

そこにあるのは対等な愛

対するめぐるは、本当に本当に可愛い。わこが「天使!」と言うのも頷けるほど、可憐で儚いビジュアルをしている。

一見するとこの物語は「可愛すぎる彼氏とその彼を推す彼女」。相手へ尽くすという観点で「めぐる < わこ」と言う図式を感じてしまう。

だけど、それは全く違う。

わこがめぐるのことを「推す」と言う形で愛しているように、めぐるもわこのことを愛しているのだ。自分のことが大好きすぎる彼女にたじたじになりながらも、めぐるはわこのことが大好きで、自分磨きは全てわこのためなのだ。

例えば、わこが風邪で体調を崩してしまった時は、手際良く看病を行い彼氏らしくお姫様だっこをするシーンもある。そして、自分を推して笑顔になっているわこをめぐるは愛おしそうに見つめているのが印象的だ。

そこには「これだけ推してるのに!」や「こんなに努力しているのに!」と言った「合意無き期待」が全くないのだ。

お互いが自分にできること、相手にしたいことを目一杯表現しているだけ。とてもハッピーで対等な愛がそこにあるのだ。

合意無き期待がなくなるには

「やってあげたのに!」「普通ならこうするのに!」

これらの合意無き期待は、もしかしたら自分を相手よりちょっぴり上に見ているから生まれるものなのかもしれない。自分がさも世界の基準のように、約束もしていない期待を押し付けてしまう。

わことめぐるのように、曇りのない視点で相手のことを対等に見つめ会えたら、幸せな関係を築けるのかもしれない。

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