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2023年11月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はこちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら


君と宇宙を歩くために

みんなが普通にやっていることができない…そんな“普通”ができないヤンキーと転校生が織りなす友情と前進の物語。 人の数だけある生きづらさ。なんでうまくやれないんだろ? と、自分だけが宇宙にいるような感覚を経験したことがある人は絶対に刺さります。あと、主人公2人は発達障害・グレーゾーンなんだろうなと思わせる描写があるんだけど。それを言及しない点もすごく良いなと。あえて言及しないことで、読み手を限定させないというか......この物語と無関係な人はいないし、みんなの物語なんだって気持ちになりました。

佐々田は友達

学生時代、教室の中には小さな村がたくさん存在していた。ざっくりいうと、陽キャ、陰キャ。さらに細かくすると、文化系、スポーツ系、不良系など..........本作には、そんな学生時代の教室のリアルが詰まっている。

文春オンラインさんで、『佐々田は友達』評を書かせていただきましたので、詳しくはこちらをぜひに。

いろんな私が本当の私

長嶋有先生の小説を米代恭先生、コナリミサト先生、鶴谷香央理先生…...計6名の人気女性漫画家さんたちがコミカライズ! なんとも贅沢な一冊。 作中で描かれる、どこか身に覚えがあるような複雑で緻密な感情。コマの余韻、キャラの瞳...漫画化によってより迫るものがある。

ファッション!! (5巻)

本作を一言で表すとしたら、お仕事マンガ、ホラー・ミステリー……今までの私はそう思っていたが、最新刊5巻でその概念が一気に覆された。『ファッション‼︎』とは、実は新しいバディものだったのではないか? と。

文春オンラインさんで、『ファッション!!』評を書かせていただきましたので、詳しくはこちらをぜひに。

大怪獣ゲァーチマ

突如、港町の海に現れた怪獣。町に重大な被害をもたらした厄災の元凶は、その後一転して復興のシンボル・豊穣の神として崇め奉られる……っていう掴みが新しすぎて一気読み。ちなみに、人におすすめするときは「げーちま」「ぐぇあーちま」.....なんて発音するのが正解なんすか!!!!!

雷雷雷

冷静に考えるとそこそこ重い話なのに、そう感じさせないポップさ、気持ちの良いテンポ感がなんとも癖になる『雷雷雷』。どこまでいくんだ? と物語の展開はもちろん、スミレのリアクションにワクワクが止まらない。

まるさんかくしかく

東村アキコ先生の最新作。幼少期を過ごした宮崎を舞台に、小学4年生の懐かしき日々を描く。東村先生はもちろんなんだけど、やっぱりお父様が面白すぎて……..。「ジャンバルジャン・スープ」とか、凡人には到底思いつかないようなワードセンスとギャグセンよ!!!

ゴミ屋敷とトイプードルと私 #勝ち逃げ大上等wwwまみりこ(3巻)

実はこの作品、全シリーズ読んでます。SNS×買い物依存症、港区女子、マルチ×洗脳……..歴代色々なヒロインがいましたが、断然まみりこがおもろすぎるってか、ここまで一貫してるとなんだか逆に応援したくなるというか。とにかくまみりこ編はずっと面白いので、ぜひ読んでほしい。

青野くんに触りたいから死にたい(11巻)

青野くんの過去に迫る最新巻。青野くんが“青野くん”になった理由が、あまりにも悲しくて、そして救いがない。今の青野くん、そして元凶であるお母さんとの確執は、社会が切り捨て、見過ごしてきた結果なのだと。胸が苦しくなる一方で、どうか全員数われてほしいと思ってしまった。

七つ屋志のぶの宝石匣(20巻)

実は宝石で一番“真珠”が好きなので、今回の表紙を見た時もう非常に高まりました! 志のぶとあきちゃんの安定感のある夫婦漫才も最高だし、珍しく?宝石ではない「日本刀」ネタも面白かった。

ブラック・ジャック(全25巻)

連載50周年記念で、11月22日~11月23日の48時間限定で『ブラック・ジャック』関連作品が全巻無料だったんですよね。このチャンピオン・コミックスのBJ、紙で全巻持ってるのにWebで読めるとなると、なんだかんだ徹夜してスマホに齧り付いてしまったよ!!!! 私は5巻収録の「めぐり会い」というお話が大好きでして。 ブラックジャック先生の研修医時代の後輩が登場するんだが、彼がピノコ以外で唯一愛した女性のお話です。切ないんだこれが!

ゲゲゲの鬼太郎(全13巻)

いや、あのですね。ゲ謎(映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」)入村してきまして。その日から狂ったように水木しげる作品を読み漁っていました。昔、学校の図書館で読んだ『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ。なんだか懐かしいなぁと思いつつ、読めば読むほど、ゲ謎の凄さを実感するんだ……。

ゲ謎は、親父のビジュが良いとか、絶妙に癖を刺激してくるオジが出てくるとか。好きポイントは山ほどありますが、なにより脚本が素晴らしい! 権力、暴力……悪しき過去に立ち向かい、新たな時代と希望を紡ぐ物語。あと、『墓場鬼太郎』や『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズがあるから、終わり(ケツ)が決まってるのに。よくまぁ辻褄が合うようにというか、原作を大切に扱いつつ、この物語を作ったなぁと思いました。とかなんとか打ってたら、ゲ謎5億突破したそうですね。すゲ〜〜〜!!!!

ゲゲゲの家計簿(上・下)

はい、こちらもゲ謎影響です。水木しげる先生のお金にまつわる自伝的コミック。貸本漫画家時代の貧乏暮らしから、人気作家になる寸前までを当時の家計簿を元に描く。貧乏ながらも楽しく、カラッと生活していらっしゃるのだが、水木しげる先生のタッチがどこか貧乏の悲壮感というか、薄暗さを醸していて、この妙なアンバランスさがクセになります。

墓場鬼太郎(1巻) 

はい、またもやゲ謎影響です。ゲ謎のラストがこちらに繋がるってわけです。すごく昔学校の図書館で読んだことがあって(てか、学校の図書館、ガラスの仮面もあったし有能すぎるだろ)久々に読み直したいなぁと思ったのですが、まぁまぁ巻数があるので個人的な予算の都合上、今月は1巻のみ…….。うおおお、全巻揃えたい!!!!!

2023年11月雑記🍁

こうして見てると、今月はレジェンド作家さん方の不朽の名作たちを読み返していたんだなぁ。さて、ここからは毎月恒例! 今月のお仕事報告です✍️

▼ ラジオ出演:TOKYO FM「ONE MORNING」

11月1日にTOKYO FM「ONE MORNING」に出演させていただきました。 「ONE MORNING」は、タレントのユージさんとフリーアナウンサーの吉田明世さんがパーソナリティを務める平日朝の生放送番組。「10月に読んで面白かったマンガ」についてお話しさせていただきました。

実は初めてのラジオ出演でして。ユージさんが「オールタイムベスト・マンガは?」と質問してくださったので、大好きな『鋼の錬金術師』とエドワード・エルリックについて語ることができたよ! 公共の電波で!! 愛すべきエドワードの名を呼べたよ!!

上手かどうかは置いといて。好きなものを言語化する、それを人に語りかけるっていう行為が大好きなので、今回のお仕事は本当に嬉しかったです。また、挑戦したい!

▼ 「週刊スピリッツ」50号 ジャルジャル・福徳秀介さんインタビュー

「週刊スピリッツ」50号にてジャルジャル・福徳秀介さんインタビューを担当させていただきました。 『忘却のサチコ』とのコラボで、サチコが小説の持ち込みに来た福徳さんに根掘り葉掘り聞く! という大変ユニークな企画です。サチコっぽい質問をしたり、サチコっぽい文体にするという…….マンガのキャラに扮して取材記事を書くのは初めてだったのですが、かなり楽しかったです。

▼ Real Sound ブック「明日カノ」をのひなお先生 インタビュー

『明日、私は誰かのカノジョ』が最終話を迎えたばかりの10月中旬、をの先生にインタビューさせていただきました。制作秘話やお蔵入りしたテーマ、“シッチィ”の裏話など。必読です!

▼「IMART2023」トークセッション コーディネート

現場の最前線からマンガ・アニメの未来を描くボーダーレス・カンファレンス「国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima(IMART)」。今年、運営委員として携わらせていただきまして。「AIを活用した漫画制作とは? 漫画産業におけるAIの現状と今後の可能性を探る」「マンガ賞の今」のトークセッションを企画・運営しました。

その他執筆記事一覧はこちら

本日11月30日。今朝がた、11月にやるべき原稿がすべて終わりまして。なんだかすごいやり切った、清々しい気持ちで11月最終日を過ごすことができました。

来月発売されるとある雑誌にて、インタビュー記事を5本やらせていただいたのですが。今月はその原稿とひたすら向き合う日々でした。なんだか随分遠いところまで来たなぁという気持ちと。質問の積み重ね、あるいはたった一つの質問によって、インタビュイーの内面がだんだんとはっきり見えてくるというか、輪郭を捉えたような感覚がある…….その瞬間が本当に楽しいし、取材の醍醐味だよねって。なんだか取材って本当に楽しい! という原点を再確認するような日々だったので、正直スケジュールはめちゃくちゃキツかったけれど、毎日とっても楽しかったです。

そして、スケジュールはめちゃくちゃキツかったけれど〜とか、多忙ぶりましたが、しっかりとプライベートも楽しみました。

まずはこちら。サンボマスター「全員優勝フェスティバル ~ゴールデンLIVE'it!~」。

本当は2021年に横アリで開催される予定だった、サンボの20周年ライブ。当時は新型コロナウイルスの影響で無観客ライブとなり、実質動員数は0という歯がゆい結果に……。だから、2年越しで行われた昨夜の「全員優勝フェスティバル ~ゴールデンLIVE’it!~」は、サンボにとって数ある周年イベントのなかでも一番力が入ると言うか、リベンジの日だったと思う。

なんだか勝手に2年前の自分と重ねては、その時に自分を励ましてくれたサンボの曲が一層胸に響いて。「お前ら、笑ってっかぁああああ!」と山口さんは言うけれど、私も、左の男子大学生も、右のおじさんも、前にいた老夫婦も、みんな俯いて泣いてた。

今日のサンボマスターのライブに辿り着くまでに、みんな震えるほどの夜をこえて、昨日の寂しさにさよならして、何度だって立ち上がったんだろうなって。こんなにも観客やその場の空気感と共鳴するバンドはそういないなと。改めてサンボマスターの唯一無二さを感じた日だった。

あと、「ラブソング」の前に山口さんが吐いた弱さみたいなものがすごく胸に刺さった。

できっこないをやらなくちゃ、ロックロンロール イズ ノット デッド……山口さんはどれも“本気”でそう思っているから、そう歌に乗せて叫ぶんだけど。それでも世界は悲しみや暴力的なことで満ちている。音楽なんかで世界は変わりゃしないって。そんな音楽の無力さを誰よりも痛感して、苦しい思いをしてきた山口さん。

そんな彼にとって歌うこととは「祈り」だったのだと。音楽で世界は変わらないかもしれないけど、音楽を聴いているあなたの、君の、お前の、笑顔と幸せを祈っている。あの情熱的なMCからそんなメッセージを感じました。

はい! お次は、もう心酔してやまないこのお方。宮本浩次!!!!!

宮本浩次「ロマンスの夜」中之島・有楽町の2公演行ってきました。

「ロマンスの夜」はエレファントカシマシ・宮本浩次先生のソロプロジェクトの一つ。宮本浩次が愛してやまない女性シンガーたちの曲を歌ったアルバム『ROMANCE』に収録されている名曲たちをはじめ、カヴァー曲を中心に披露されるコンサートです。

まず、初めて行った中之島の「フェスティバルホール」。音響が“すごい”んです。宮本さんの艶やかな歌声も、生命をモロに感じるパワフルな歌声も。ステージ正面からくるんじゃなく、観客を包み込むように響く。はるばる大阪まできて本当に良かった……と思うくらい、素晴らしい空間でした。

そして、有楽町公演では、宮本浩次ってほんとにいるんだ……って気持ちになるくらいの距離で宮本浩次先生を拝めて、御声を浴びることが出来て幸せでした。 この「ロマンスの夜」から一生目醒めない、抜け出せそうになくて怖いんですけど、帰ってちゃんと原稿やったよ!!!

なんか、宮本さんのさ。観客の方を見つめて歌っているけど、なんか本当はもっと、もっと、その先の音楽だけを見つめているような歌い方が本当に好きだ〜〜って思いました。でも、やっぱり、やっぱりエレカシが聴きたい! って気持ちになったので。紅白と、あと、まだやるかどうかも決定していない新春ライブを心待ちにしております。

マンガもですが、私にとって“好きなもの”とは生きている証。好きなマンガや音楽に触れている時は感情が動いて、鼓動が高鳴る。すごく生命活動しているなと実感する時間です。

12月は今年担当させていただいたお仕事を振り返りつつ、来年もたっくさん生命活動を繰り返すために、どう生きていこうか? と。2024年の地図を描こうと思います。

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