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『少女ショップ』奇妙な共同生活から見えた、知らないからこそ寄り添えるの法則

今月ピッコマで新しく連載がスタートしたWebtoon 『少女ショップ』。淡い色使い、そして可愛らしい少女が段ボールの中で眠っている...という不思議なアンバランスさに心惹かれて読み始めた。

恋人には浮気され、心許せる友人はゼロ...。そんな孤独な生活を送る会社員・歩は、ある日ECサイトでワンピースを購入するのだが、自宅に届いたのはなんと可愛い女の子だった。よくよく見ると、その可愛い女の子の正体は、ECサイトでワンピースの着用モデルをしていたモデル・陽菜。

なぜ歩の元にやってきたのかを問いただしても何も喋らない陽菜。その背景にはきっと何か人に言えない悩みがあるのかも知れないと思った歩は、そのまま陽菜を自分に家に住まわせる。こうして、孤独な会社員と人気モデルの奇妙な共同生活が始まるのだ。

本作を初めて読んだ時、陽菜が幻影ではなくしっかりと「人間」として描かれているところに驚いた。てっきり、陽菜は孤独な会社員にしか見えない妖精的なポジションかと思っていたのだが、彼女が歩の家にやってきたこと、そして何も喋らないのは理由があるのだ。まだその理由ははっきりと明かされていないのだが、この謎が作品を一層盛り立てている。

そして、特に注目してほしいのは歩と陽菜の関係性だ。外見、内面と何もかも正反対な2人、おまけにお互いのことを全く知らない...にも関わらず始まった2人の共同生活は静かではあるものの順調なように見える。

相手のことを知っている、または似ているからと言って、必ずしも良い関係が育める訳ではないのかもしれない。むしろ、歩と陽菜のように知らないからこそお互いに寄り添うことできる関係性もあるのではないだろうか。

現在(2021年2月27日)では、24話まで配信中の『少女ショップ』。謎多き陽菜、そして孤独な歩が織りなす奇妙だけれど静かに寄り添い合う共同生活を見守りたい。

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