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#映画感想文181『RRR』(2022)

映画『RRR』を映画館で観てきた。

監督・脚本はS・S・ラージャマウリ、主演はN・T・ラーマ・ラオ・Jr.とラーム・チャランである。2022年製作、179分のインド映画である。

冒頭で、『RRR』とは、STORY、FIRE、WATERの三つであると大掛かりな説明がある。

ポスターにはRISE(蜂起)、ROAR(咆哮)、REVOLT(反乱)とある。

実際は、S.S. Rajamouli(監督)、N.T.R. Rao Junior(ビーム)、Ram Charan(ラーマ)と監督と主演二人の頭文字のRからきているらしい。「俺たちスーパースターが集まった」といった自信満々な映画である。この天真爛漫さはインドならでは、というより、S・S・ラージャマウリ監督の性格によるものだと思われる。

舞台は1920年代の大英帝国植民地下のインド。インド独立運動に関わった実在の人物が主人公として登場するのだが、ほぼほぼフィクションである。寓話のような神話のような物語であった。(二人の主人公が強すぎるし、不死身すぎる)大英帝国側の人物は、ジェニーという女性を除き、徹底的に「悪」として描かれている。「インド人の命は、銃弾一つの価値もない」というのは何度も出てきたので、お決まりの差別フレーズであったのかもしれない。また、インド人が差別されているさまを見て、オーケストラの黒人のチェロ(コントラバス?)奏者が思わず目を伏せてしまうシーンなどもあった。

メインのダンスシーンが一つしかなかったのは残念であったが、この『Naacho Naacho』というダンスはすごい。映画に興味のない人にも、動画を見てほしい。ナチョとは、Let's danceという意味らしい。

このダンスシーンを見て、インドの俳優さんは、ここまでの踊りと体力を要求され、歌もうまく、アクションはもちろん、演技力もなければならないのだとしたら、大変なことだと思った。この高速ステップとずっと笑顔をキープする様がすごすぎる。

荒唐無稽だとかナショナリズムだとかいう批判は、すべて撥ね返してしまうような勢いのある作品だった。

終盤、TNTと書かれた箱の山に火炎瓶が投げ込まれ大爆発なんてわかりやすいシーンを撮ってしまえるのは、今の時代、S・S・ラージャマウリ監督だけだと思う。

森で生まれ育ったビームが衝撃を受けると、見事な驚きの表情を浮かべるのだが、そのたびに、「(たいていのことには動じない)インド人もびっくり!」というあのフレーズを思い出してしまった。

(そして、わたしの行った映画館は、出入り口側の席が見事に埋まっていて、何事かと思ったが、3時間近い作品なので、トイレへの行きやすさが優先されたのだと思われる。上映時間は長いので、そのあたりは気を付けてください)

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