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映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019)の感想

映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』を観た。監督・脚本はレジス・ロワンサルで、フランス・ベルギーの合作映画である。

世界的なベストセラーの外部流出を防ぎ、同時に翻訳本を出版するため、翻訳家たちが地下室に集められて…、とあらすじを聞けば、密室ミステリーを想像すると思う。

しかし、金田一耕助シリーズや金田一少年の事件簿を思い浮かべてはいけない。

密室の地下室という舞台装置が、全然生かされないのだ。なぜかというと、翻訳家たちが地下室に集められる前に、すべての事件が起きており、終わっていたからである。また、翻訳家たちが物語の主人公(主体)になっていない。彼らは、出版界においても道具的に使われ、この映画の中でも道具的に消費されてしまっている。この構成とオチは、あまりにもひどい。

ずっと、伏線と伏線の回収が交互に来るような作りで、もしかしたら、小説だったら面白かったかもしれない。

(※2021年11月時点では、Amazon Primeで観られるはずです。)


チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!