ペク・セヒ(2020)『死にたいけどトッポキは食べたい』の感想

ペク・セヒ著、山口ミル訳の『死にたいけどトッポキは食べたい』を読んだ。

著者は出版社勤務の二十代後半の女性で、気分の乱高下に疲れている。落ち込みながらも、トッポッキは食べたい自分をおかしいと感じている。

話題になっていたし、タイトルが面白いので、以前から読みたいと思っていた。

小説ではなく、対話の記録である。(多少の脚色や誇張はあると思う)

心療内科の先生との対談形式で進んでいくのだが、気楽に読める、という感じではなかった。読んでいて「この人大変だな」と思った。著者自身もラストでは自分のことを「疲れる人」と形容している。

著者は、人からどう思われるか、他人の欠点や面倒くささに過敏なのである。

しかし、既視感がないわけでもない。わたしも十代の頃はこんな感じだった。

自分も、他人もジャッジし過ぎるのである。それは誰のためにもならない。わたしの場合、加齢により、脳(CPU)が劣化しつつあるので、そこまで神経質に他人も自分も見ることができない。彼女が特異ということはなく、誰しも、そういった時期を経験しているのではないだろうか。

(あと、人間は暇だと考え過ぎてしまうのよね)

『死にたいけどトッポキは食べたい 2』では、最終的に心療内科の先生との別れがくるのだが、彼女を回復させたのは、出版された『死にたいけどトッポキは食べたい』の作家としての成功と、地道な毎日の運動であるように思った。

彼女は公園を40分歩くそうだ。運動は大事。運動すれば、セロトニンが出るし、ほどよく疲れるので、結構いろいろ解決する気がする。

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