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空間を買う

今、ある資格を調べるため、無料説明会に行ったりしている。

いくつかの学校を比較したうえで受ける講座を決めようと思っていたのだが、一番最初に行った一番高い学校の講座に申し込みをしてしまった。

その理由を少し考えてみた。

申し込みをした学校はスタッフの方が白いシャツにジャケットで清潔感があり、インテリアも洒落ていた。何より、教室の仕切りの上半分が透明なので、いろんな教室を見渡すことができ、窓から自然光が入り、照明の蛍光灯も、やわらかかった。

ここはちょっとなあ、と思った学校は、四方が壁で、パーテーションが薄く、隣の教室の声が聞こえ、駅から近いので電車の音も、時折聞こえてくる。圧迫感がすごい。そして、蛍光灯の光が青白い。机が会議の長机でパイプ椅子なのも、ここで長時間勉強するのはどうかなと考えてしまった。

講師の先生も「私は〇〇の資格と✕✕の資格を持っていて、△△の経験もあり、この講師の仕事をしていて実務経験も豊富なんです。講師として、ここに立つのはとても難しいんですよ。普通にやっていたら、講師はできないんです。この資格は入り口で、これだけで食べていけると思わないでくださいね」と自慢なんだか、誇示なのかわからないが、この世界は甘くないぞアピールをされて、きょとんとしてしまった。

わたしは、講師になりたいなんて、一言も言ってないんだけどなあ。それに現実の話をするのは大事だが、脅したら誰も入会しないよ。

「わたしの経歴はすんごいですよ!」というのは、やっぱり、みっともない行動だな、と改めて思った。気を付けたい。短時間で自分のすごさを誇示しようとするのは、本当に逆効果だ。わたしは、この人は自信がないんだろうな、と思った。それに「この先生、すごい!!」と思って、学校に入るだろうか。勉強のしやすさ、続けられるかどうかの話のほうが聞きたかった。

あと、即興的な雑談で盛り上げて、パフォーマンスを見せつけようとする人より、基本的なことを順を追って淡々と説明してくれる人の方が助かるな。スター講師は求めていない。

話を戻そう。わたしたちは「雰囲気」や「空気」を買うのだ、とまでは言えないが、その空間の明るさは、印象に残る。もちろん、イメージファクトリーと言われればその通りだ。

この年齢になり、サービスを買うことの意味が理解できてきたような気がする。

なぜ、若者はスタバで飲みたがるのか。古民家風のカフェが流行るのか。顧客は、コーヒーだけでなく、空間にも料金を払っている。無意識に選択している人たちも少なくない。いや、「映え」がこれだけ流行っているのだから、みなそこに焦点を置いている時代なのかもしれない。(わい、周回遅れかも)

わたしは、これまで価格重視で、雰囲気はまあまあであれば、それでよかった。わかりやすくいえば、スタバではなくドトールを選んでいた。

でも、今回の自分の行動を振り返ると、居心地の良さや通うときの気分まで考慮して、お金を出したことになる。

「採光を買う」なんて考えたこともなかったが、その空間の光は印象を大きく変える。

そういえば、ここ数年、ファミレスも、窓があり、日差しのある店を選んでいるかもしれない。

消費行動は変わる。消費者は変化をする。そのお金を有効利用しようと考える。

雰囲気の悪い学校に払う10万円と、居心地の良い学校に払う20万円、教える内容が同じだとしても、自分のモチベーションを含めて考えると、後者の方がむしろ安いのではないか。

ああ、わたしは大人になったのだな、と思った。

(照明や採光について勉強してみようかな)



チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!