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たまらなく自分に腹が立つ

ドーパミン中毒』という本には、アルコール依存症の患者が立ち直るためには、他責思考から自責思考への変化が必須であると書かれていた。

確かに人のせいにしていては何も始まらない。自分の問題を自分自身で引き受けてはじめて、人間は人生を変えることができる。

ここ最近のわたしの頭の中は、自責思考ゆえの自分を責め立てる野蛮な言葉で満ち満ちている。もちろん、他人に対しても、どこか攻撃的だ。その状態に疲れている。もちろん、頭の中なので、他人に聞こえているわけではない。しかし、「話しかけるなオーラ」を放っており、それは確実に伝わっているだろう。(職場で昼食にも誘われないが、誘われたくないとも思っている。)とげとげしく、神経質な自分が嫌になる。鷹揚でフレンドリーな人物になることなど、とうの昔にあきらめているが、嫌な奴にはなりたくない。

転職して3か月も経たないうちにはじめてしまった転職活動に苛立ちがある。誰も悪くない。わたしだけ悪いのだ。わたしだけ大馬鹿なだけなのだ。そう考えると、さらに脳内の罵詈雑言が止まらなくなっていく。

原因はいくつかある。

まず、不安であること。6月末に退職するためには、4月末までには内定がほしい。ただ、それは難しいかもしれない、という状況になりつつある。やはり、求人が多かったのは、4月勤務開始で、シーズンがズレてしまっている。これも敗因の一つだ。今の勤務先に違和感を覚えたのは、勤務開始直後であったのだから、その時点で転職活動を始めるべきだった。辞めることを選択肢に入れないように遊んでしまったこと、流してしまったことが悔やまれる。また無職期間ができてしまうことがとても怖い。

次に、仕事に飽き飽きしている、ということ。この業界に入って10年が経つ。仕事で戸惑うことはほとんどない。大体想定内。驚くほど、つまらない。何より今の職場の上司は無知蒙昧なので、昔の自分以下のことをしていて、実質退化している。まだ、そこにいるの? まだ、そのレベルなの? それやっても意味ないけど、と頭の中でしゃべっている自分がいる。そのせいで自己嫌悪がさらに加速していく。

そして、転職活動が始まると、動きにくくなる。失業不安があるため、お金を使わないようになる。面接が入るかもしれないから、と予定が立てにくい。単なる思い込みに過ぎないのだけれど、窮屈な感覚。そのうえ、新しいことを何もしていないので、脳が退屈して、鬱っぽくもなっている。

自分自身で招いてしまった人生であるからこそ、絶望以外には何もない。きちんと積み上げることができなかったキャリア。人間関係も、まともに築けなかった。それは自分の弱さも他人の弱さも大嫌いなことが原因で、要するに、誰に対しても優しくないのだと思う。与えても奪われることが多かったせいで、やるだけ損だと潜在的に考えてしまっているきらいもある。

2023年のアカデミー賞受賞作品の『Everything Everywhere All at Once』で、キー・ホイ・クァン演じるウェイモンドがこんなことを言う。

"The only thing I do know is that we have to be kind.
Please , be kind.
Especially when we don't know what's going on.”

『Everything Everywhere All at Once』

虚無主義ではなく、人に優しくなろう、というメッセージなのだという。

「人に親切に」。それだけのことが、なぜこれほどまでに難しいのか。手始めに自己嫌悪と自分への罵詈雑言を止めたい。何も考えないことから始めたい。「なるようになるさ」と頭が切り換えられたら、自分にも他人にも優しくなれるかもしれない。

昨夜は暴風雨だった。鮮やかな緑の葉に雨粒が落ちていて、とても美しかった。そのとき思ったのだ。来年の今頃は、このくさくさした苛立ちも、きっと覚えていないだろう。だったら、こんなにイライラする必要なんてないのではないか、と。結局、自分の思考の癖、パターンから、自分を解放してやることのほうが先決なのではないか。人生はどうにもならないのだから、

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!