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#映画感想文222『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(原題:EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE)』(2022)を映画館で観てきた。

監督・脚本はダニエル・クワンとダニエル・シャイナート、主演はミシェル・ヨー、ほかにステファニー・スー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティスが出演している。

2022年製作、139分、アメリカ映画、製作はA24。

カンフー映画、いわゆる香港アクションが好きな人たちにはうってつけの映画だと思う。

マルチバースという概念は、いわゆるパラレルワールド、並行世界でそれこそ『ドラえもん』『ドラゴンボール』などでも言及されてきたもので、馴染みはある。『スパイダーマン ノーウェイホーム』だって、そのような設定だった。

「えぶえぶ最高!」というテンションにはなっていないが、すごく身につまされてしまった。

主人公エブリンが「この世界の君は、ほかのマルチバースの中で最も成功していない。失敗をし続ける、一番駄目な君だ」という告げられるシーンにショックを受けた。

薄々はわかっていたけれど、そんなにはっきり言うんかい!

これって、わたしのことじゃない? そう思った。ぐさりと突き刺さった。現在の自分が最も成功していない自分だと感じてしまうことはよくある。あのとき、別の選択をしていたら、自分はもっと輝いていたのではないかと無駄な仮定をしてしまっているから、宣告されるときつい。

今の自分を肯定することの難しさ。無数の、無限の可能性を前にして、きちんと選択をして、正しく歩めているという自信を持てている人なんて、そうそういない。

この映画のモチーフを体現するようなキー・ホイ・クァンのインタビューもよかった。一度成功しても、スポットライトを浴び続けることはかくも難しい。しかし、チャンスはゼロではない。

2023年の第95回アカデミー賞は、『エブエブ』の受賞ラッシュとなるのだろう。それほどハマらなかったが、言わんとしていることはよくわかる。

やっぱり、人生はつらい。

【追記】案の定、エブエブ旋風で、2023年のオスカーは幕を下ろしたようである。

『RRR』もオリジナル歌曲賞を獲ったし、去年より、派手な作品が多かったという印象。アジア系の大躍進なのだけれど、それなりにゴージャスな作品ばかりなので、それもまた新しい傾向で良いのではないかと思う。

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