見出し画像

#映画感想文288『ザ・クリエイター 創造者』(2023)

映画『ザ・クリエイター 創造者(原題:The Creator)』(2023)を映画館で観てきた。

監督・脚本はギャレス・エドワーズ、出演はジョン・デビッド・ワシントン、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイ、渡辺謙。

2023年製作、133分、アメリカ映画。

2075年、AIによってロサンゼルスで核爆発が引き起こされる。これに激怒したアメリカ政府は、AIを徹底的に排除しようと、ノマドという移動型の兵器を作り、AIが潜伏していると思われるアジア地域を無差別攻撃をしていた。(大量破壊兵器はどこにもなかったみたいな話に通じるような…)

一方、ニューアジアと呼ばれるアジア地域はAIや、AI搭載ロボットと共生関係を築いており、アメリカ政府の意向には従わない状態が続いており、アメリカの襲撃にも対抗していた。そのアジア側に潜入捜査をしていたのがジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)で、というところから物語は始まる。

この映画はAIと人類の闘いではなく、アメリカ(反AI)対ニューアジア(AI推進派)の対立構造が描かれている。しかも、ロサンゼルスの核爆発はAIの仕業などではなく、単なる人為的なミスであったことも明らかになる。

ジョシュアは潜入捜査中に恋仲になったマヤ(ジェンマ・チャン)の行方を探すことに必死で、国家の戦争などどうでもいいと思っている。彼女に会いたいがために、アメリカ軍の作戦に再び参加することになる。その作戦中に、成長することのできる少女型のロボット(AI)のアルフィーに出会う。彼女は人を殺せるわけではないのだが、電気などの動力を落とす能力を持っている。ジョシュアはアルフィーを殺すことはできず、マヤを探す旅を続ける。

中盤、AIの僧侶が植物人間状態になった創造者、自分たちを作った人間を殺せないと告白するシーンが何とも切なかった。「わたしたちは人間じゃないから殺せないんだ」とつぶやく。日本人が思うロボットって、そういうもので、監督は本当にオタクなのだなと思った。

そして、レーザー攻撃で空爆を繰り返すアメリカが何ともアメリカらしいのだが、アメリカの軍人たちのプロフェッショナルぶりも、敵とはいえ、なかなかかっこよかった。その軍人が「意地悪なホモサピエンスが賢くて優しいネアンデルタール人を殺して絶滅させたのよ」と語るシーンは何とも言えない気分にさせられた。

この映画のすごいところは、アメリカ製作なのに、アメリカがはっきり「悪」として描かれ、超アジア寄りで、AI賛歌で終わっちゃうところなのよ。うーん、確かにすごいんだけれど、大丈夫なのかしら、と心配になる結末であった。

で、この映画はところどころに日本語が引用され、しかも中途半端に間違っていて、ちょっと恥ずかしい。ただ、そのチープさによって、あまり深刻にならずに済んでいるような気もする。


この記事が参加している募集

映画感想文

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!