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気付かない人に気付いてもらうのは至難の業

先日、同僚が行けなくなった営業に行くことになった。同僚から渡されていた資料を持って行ったのだが、微妙に先方とのやりとりがうまくいかない。徐々に、同僚が先方に確認しておくべき事項を怠っていたことに気付く。そして、わたしには適当でない情報が伝えられていたことが判明する。

急場しのぎでごまかしながらも冷や汗が止まらず、体が緊張で強張っていく。何とか切り抜けたが、その会社の建物を出ると、どっと疲労がやってきた。怒りと脱力感。こんなことになるのなら、全部自分でやっておけばよかったと後悔に襲われる。

その人は悪い人ではないのだが要領と段取りが悪い。ただ、送ればいいだけのメールに何時間もかけていたり、今回のプレゼン資料を作るのに何十時間もかけている様子だった。そのプレゼン資料は、会社にあったテンプレに補足情報を追加しただけの代物で、なぜあんなに時間をかけていたのが首をかしげたくなるような仕上がり。結局、不足部分はわたしが修正を加えたのだが、そもそも先方の意向がわたしに伝わっていなかったので、焼け石に水であった。

社会人を長くやっていると、こういう人に出会うのは、はじめてではない。謎のこだわりで、どうでもいいことに信じられない時間をかけて、さほど変わっていないものを成果物としてあげてくる。で、そういう人は無駄にプライドが高いので指摘されても修正したりしなかったりで、本人のやりたいことを優先する。仕事をやっている感は人一倍出してくる。取り扱い注意なのだ。

これまでのわたしだったら、仕事を振り分けるのも面倒で仕事を抱え込んでいた。進捗確認や言いわけを聞くのが面倒だった。ただ、それを繰り返していると、わたしがやって当たり前という空気が醸成される。ルーティンワークだけの人と、ルーティンワークに加えて新企画を同時並行で進める人にわかれて、損をするばかり。新しい職場ではそうならないようにしているのだが、その人に任せていると、時間はかかるし、クオリティは低いし、実害を被るわけで、結局、自分でやった方が楽だなと思った。

今回は、ものすごく疲弊したので、問題点をSlackで同僚に送っておいた。反応はない。まめな人ではないので、チェックをしていない可能性が大。ただ、わたしは(おそらくわたしだけでなく)、同僚のミスや準備の不適当さを伝えるのは、しんどい。反発されて関係性が悪くなっても嫌。しかし、こちらが取引先でパニックになり、また取引先も腑に落ちないような状況は最悪なのだ。なんちゅうか、気が付く人なら、しないようなミスなので、指摘したところで当人はミスだと認識しないおそれすらある。

気が付かない人は気が付かないから、信じられないようなミスをする。それを指摘するのもストレスなのだが、呉越同舟なので仕方あるまい。言わずにいて、万事うまく行ったと思われても困る。(その人は普段から会話の文脈や意図を読めない人なので、言わないと流されてしまうというのもある)

今回は黙って我慢していると、こちらが持たないと思って、意を決して言った。この職場に入って一年半、ずっと我慢して何も言わなかったから、このような事態がこれ以上続くのはきつい。

ただ、クレームめいた指摘をすることには慣れていないので、それ自体がストレスになっている。ハレーションはわたしだって怖い。食欲がなくなり、眠りも浅くなった。でも、小さな職場だから自分で対処するしかない。

(まだSlackがチェックすらされていない可能性もあるし、相手はけろっとしていると思う。仕事に真正面から相対していない人は、仕事をしていても、芯を食っていない。それは本人は自覚できないことなのかもしれないし、そういう人の方が、案外、仕事って長続きするんだよね。皮肉なことに)



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佐藤芽衣
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