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#読書感想文 益田ミリ『今日の人生』

益田ミリの『今日の人生』と『今日の人生2 世界がどんなに変わっても』を読んだ。

2017年と2020年にミシマ社から出版された本である。ジャンルとしてはコミックエッセイに分類されるものだと思う。

益田ミリさんの作品は以前から好きでよく読んでいた。彼女の着眼点や感じていることは、手厳しいなと思わされるときもあるのだが、頭を持って考えている生身の人間っぽさがある。

『今日の人生』では、日々の気付きやすれ違った人たちのふるまいや会話、一瞬耳にした一言が描かれている。ちょっと失礼な言い方にはなるが、この作品は、書こうと思えば誰にでも書ける作品でもある。わたしの知っていること、知らないことが描かれているのだが、誰しもわたししか知らないことを持っているはず。

しかし、このアンテナを毎日きちんと張り続けるのは、結構、難しい。やっぱり、どこかで日々を流してしまっているし、周囲の様子をそこまで観察できていない。スマホに夢中になっていたら、あるいはイヤホンで耳を塞いでしまえば、ほとんどのことをキャッチすることなどできない。世界は自分ばかりになってしまう。それが行き詰まりの原因にもなったりする。

彼女は誰かと一緒にいることもあるが、一人でどんどん行動している。やはり、外に出て、他者に出会うことで、自分自身の内面を覗けるのだ。行動しているからこそ、何かを感じ、さざ波のような変化が起こり、それが言語化(漫画化)されていく。

この本を読んで改めて、自分の感性をもっと信じてもいいのではないかと思えた。違和感を覚えたこと、深く共感してしまったこと、自分はわかっていなかったことなどが率直に綴られており、外界の情報をシャットアウトしようとしていたこれまでの自分の行動が悔やまれる。(あと、なぜかはわからないのだが、ここ最近、外で音楽を聴くのが楽しくなくなってしまった)

わたし自身の『今日の人生』を軽んじないように気を付けていきたい。

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