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#映画感想文『ドント・ルック・アップ』(2021)

映画『ドント・ルック・アップ(原題:Don't Look Up)』を映画館で観てきた。

監督・脚本はアダム・マッケイで、主演はジェニファー・ローレンスとレオナルド・ディカプリオである。

ちなみにNetflixでは2021年12月24日より配信開始だそうだ。

カンヌ映画祭の抵抗もむなしくNetflix製作の映画が爆発的に増えている。もはや、映画館がオマケで、配信がメインだ。こんな日が来るとは誰が思っていただろう。わたしの記憶だと映画が公開されてから半年ぐらい経たなければ、DVDやビデオで観ることはできなかった。あるいは、単館上映の映画だとDVDにならなかったり、DVDになっても販売限定でレンタルがないこともあった。だから、映画館に行って観る必要があったのが、もはやそのシステムや慣習は終わったのだ。配信会社が映画を作ってしまえば、そのサイトで配信し、視聴してもらえれば製作費は回収できるわけである。Netflixがプラットフォームになっており、映画会社も吸収合併されてしまうのだろう。中国マネーがハリウッドを飲み込むという話もあったが、中国は市場を規制したり、不動産のデフォルトが懸念されていたり、とちょっとその動きは鈍化しているような気がする。

さて、話を『ドント・ルック・アップ』に戻す。これは彗星が衝突するにも関わらず、金儲けに走り、地球が滅亡の危機に陥る、という話だ。

はじめは、アメリカ政府が核爆弾を搭載した有人スペースシャトルで、彗星の軌道を変える予定だったのだが、急遽変更される。スティーブ・ジョブズのような人が経営しているバッシュという企業が彗星を粉砕し、その彗星に含まれる鉱物(レアアースやダイヤモンド)を手に入れよう、という欲をかき、人類はどんどん窮地に追い込まれていく。

バッシュという民間企業のお抱え研究員たちの予測に対して、ミシガン大学の研究者である主人公の二人は「レビュー(査読)は?」と問う。もちろん、民間企業のレポートに査読者はいない。この二人はメリル・ストリープの演じる大統領に「アイビーリーグの研究者に聞くわ」と学歴を馬鹿にされたりするシーンもあるのだが、研究というものは、チェックする人が必要だという素朴なことを主張していたりする。

ディカプリオ演じる中年男性の頼りなさは笑えるところと笑えないところがあった。だんだん、ジェニファー・ローレンスの孤軍奮闘につらくなってくる。終盤、ティモシー・シャラメが、ヤンキーの敬虔なクリスチャンとして登場したりもする。

スーパーリッチである白人の年寄りしか生き残らなかった。そんな映画のオチも、まあまあリアリティのある2021年の年の瀬である。

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