見出し画像

#映画感想文182『ソングバード』(2020)

映画『ソング・バード(原題:Songbird)』を映画館で観てきた。

マイケル・ベイがプロデュース、監督・脚本はアダム・メイソン、主演はK・J・アパ。2020年製作、84分のアメリカ映画である。2020年7月のロックダウン下のロサンゼルスで撮影された作品だという。

久々に、ドイヒーな映画だったのだが、せっかくなので、その原因を考えてみたい。映画『夢路 Malu』と同じぐらい酷かった。

舞台は2024年で、Covid-19がCovid-23まで進化し、感染して発症すると48時間以内に死んでしまう。感染者は「Qゾーン」と呼ばれる隔離施設に収容され、死を迎えることになる。Qゾーンとは、Quick Deathを意味する、と揶揄されている。

設定自体は面白いのだが、免疫者が無敵であることに納得がいかない。なぜなら、Covid-19の場合、感染して回復しても、再感染することはよくある。免疫があるからといって、無敵な人になれるわけではない。ここにひっかかってしまうので、主人公のニコがマスクもつけずに、自転車で走り回っている姿に、あまりリアリティが感じられない。

登場人物たちのそれぞれのエピソードは面白いのに、それがまったく有機的に繋がっていかず、まどろっこしい。Rotten Tomatoesでも、ちゃんと酷評されている(笑)マイケル・ベイだから雑でもよい、ということはないだろう。

滅びつつある世界での行動原理も、欲望が最優先される、といった人間観にあまりリアリティを感じなかった。ただ、ロックダウン状態で、働くことができなくても、生活を維持していくのには金がかかり、やむなく犯罪や売春に手を染めてしまう、といった描写にはリアリティがあった。

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,467件

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!