いかにして問題をとくか。
数学を解くときの基本的な考えをまとめた大著、『いかにして問題をとくか』略して『いか問』。その基本的な発想を説明します。
数学だけでなく、あらゆる問題解決の場面で役に立つ考え方です。
実際、『いか問』は数学書というよりもビジネス書として有名です。
『いか問』では 4 つのパートにわけて問題を解決していきます。
1.問題を理解する。
数学であろうとなかろうと、問題を解決するためにはまず問題を理解しなければなりません。
なにを当たり前のことをと思うかもしれませんが、意外とこれができていない場面が多くあります。
『いか問』では、問題を理解するために何を考えなければいけないかを整理しています。
未知のものは何か。与えられているものは何か。条件は何か。
出てくる言葉の意味(定義)はわかるか。
図をかけ。適当な記号を導入せよ。
まずは問題を分解しましょう。求めるもの(未知のもの)と条件を分けてしまいましょう。
条件は箇条書きにしてしまいましょう。
例えば、この問題ならば、与えられているもの、条件を
・1 個 150 円
・1 日 500個
・1 円上げると 2 個減る
といった具合に箇条書きにします。
そして、求めるもの(未知のもの)は
・売り上げを最大にする値段(もしくはいくら値上げしたか)
です。
これを未知数 x という記号にしてしましょう。
このように問題を分解し、理解します。
2.計画をたてる
問題が理解できれば、次は解答の道筋を考えます。そのときに役に立つ思考法は以下のようなものです。
同じ問題、類題を見たことはないか。
関連した問題はなにか。
問題の一部だけでも解けないか。
もっと特殊な場合やもっと一般的な場合は解けないか。
問題を言い換えることはできないか。
与えられた条件はすべて使ったか。
全く新しい方法で問題を解決するということはほとんどありえません。
知っている問題に関連付けて、それを真似することで解きます。
2 次関数の最大最小の問題なら平方完成だ、三角関数の最大最小なら合成だ、といったように、パターンを見つけ出します。
途中までなら解けるだろうか、出てくる定数 a を 1 にした場合は解けるか、といったように、問題を少し変えてみて考えるということも有効です。
次の問題は言い換えの強力さを表しています。
これは、1~10 から 3 つの整数を選ぶ選び方は何通りあるかという問題にほかなりません。
このように適切な言い換えを知っていれば問題は驚くほどかんたんにすることができます。
3.計画を実行する
方針がたったなら、それに従って実際に計算してみましょう。
ひとつひとつの段階が正しいことを確認しながら進めるようにしましょう。
4.振り返る
最後まで問題が解けたら振り返りをしましょう。
問題を解いたことだけに満足していてはもったいないです。
結果を実際に試してみる。
別解がないか考える。
他の問題に応用できないか考える。
例えば、辺の長さを求める問題にも関わらず答えが負になってしまったとしましょう。当然、それは答えとして不適切です。
これほど極端でなくとも、出てきた答えを吟味する癖はつけておいたほうがいいでしょう。
複数通りの解き方があるときは、それらが本質的にどの程度異なるものなのかを考えると理解が深まります。
以上のように、問題にであったら、それが数学のものであろうとなかろうとすることは決まっています。
まずは問題を理解する。次に計画をたてる。そして実行をする。最後に結果を振り返る。
この 4 ステップを意識するだけで、格段に問題解決能力が上がることでしょう。
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