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星空と理由と暮らし

from Lund in Canada

2月が始まった。
今日は久しぶりに雨が降らない一日だった。
今は梅雨の時期のブリティッシュコロンビアだが今週は珍しく曇りと少しの晴れの日が続く模様。


8:00pm
今日もわんころたちの夜んぽに出かける。
見上げると小さな星たちもはっきりと見えるほどの透き通った夜空が広がっていた。

「…ここに来てよかった。」

言葉がぽつりと浮かぶ。
このお家で過ごし始めてから何度この言葉を
思い浮かべただろう。

ワーキングホリデービザ使ってカナダやってきたのが2023年の1月初め。
この一年楽しい思い出も友達も出来た。
美しい景色も見れた。

だけどいつも怖がっていたし焦っていた。
色んな国の人と友達になって英語で沢山コミュニケーションを取らないと。
一生に一度しか出来ないような経験をしに来たんだから新しいこといっぱい挑戦しないと。
でも怖くて出来ない。どうして。

わたしはこの一年何か自分を褒めてあげたことあっただろうか。

思い出すのはどこにでもついて回る内向的で怖がりな気持ちをなんとか持ち上げようとぜえぜえ息切れしている自分。

そして一年が終わる頃心の体力が尽きかけていることを感じた。

こたつに入って寝転がりたい…。 
温泉に入ってフルーツ牛乳が飲みたい…。
なんでもなかった日常が恋しい。
「疲れたしもう帰ってしまおうか。」
近頃はずっと早く帰って安心したい気持ちが心の中を覆っていった。

でも、でもやっぱりもう少しだけこの国にいることにした。帰りたいと思うたびに
「まだしたいこと出来てないじゃない」
と訴えてくる自分もそこにいたから。

あの日、カナダに行こうと思い立ってわくわくしていた自分に行って良かったよと言える気持ちで帰りたい。すごいことが出来なくたって初めての海外生活を終えた自分を心から褒めたい。好きになったこの国の思い出を穏やかな気持ちで思い出したい。

二つに分裂しそうな頭の中でぎりぎり残る方の自分が勝った。そこからはこちらもぎりぎりでビジターレコード(滞在延長のビザ)を申請をして自分のしたいことをすべく動き始めた。


その「したいこと」とは。
リストを作っていたのでここに少し公開しておく。

・環境に関するボランティアの参加
・モントリオールに行く
・オーロラツアーの仕事をする
・カナダの温泉に入る
・美しい景色を見に行く
・ファームステイをする などなど

出来たこともあるし出来なかったこともある。ちなみにオーロラツアーの仕事は出来なかった。
(ご想像の通り怖気づきタイミングを失いました)

その中でどうしてもしてみたかったのが
ファームステイだった。
ファームステイとは農場や牧場の手伝いをしながらホストから滞在先や食事を提供してもらうというもの。(滞在費が発生するところもあるし条件はホストによって様々)

高層ビルから洗練された都会の景色を見るよりも草原で羊に埋もれて寝転がっていたい私は
ずっと滞在していたバンクーバーを離れてより自然の豊かな場所でいつか過ごしてみたいと思っていた。
どんな人たちが暮らしているのか、どんな動物たちと出会えるのか。自分の目で見て体感したい。

そこで[ファームステイ カナダ]と調べて出てきたサイトに登録し、気になるホストの人たちに片っ端からメッセージを送った。
でも希望する日付も間近でファームステイ未経験者、英語も勉強中。そんな初心者を受け入れる側が不安に感じるのは当たり前で返事は中々来なかった。そもそも冬は募集していないところも多い。

そんな中返事をくれたところが2件あった。
一つはご夫婦で様々な動物たちを飼っているところでその動物たちのお世話を一緒にしてほしいとのこと。
もう一つは一人暮らししている女性の方の倉庫の整理や冬に備えた薪の用意を手伝ってほしいというところ。

ご夫婦のところは私の夢見ていた自然の中で動物たちと囲まれて暮らせそうな場所だったのでありがたく即決した。ただここには現在ステイしている人がいるので一ヶ月以上後に来てほしいそう。

もう一つのところは…とても迷った。
出会ったばかりの人と2人きりで暮らしていく。この人と気が合うかどうかも分からない。私のしたかったファームステイとも少し違うし、薪割りもしたことない。
考えるほど沢山の不安が浮かんでくる。だけどここはすぐにでも来てほしいと言ってくれてるし、このまま家にこもってホストを探してメッセージを送り続けるのももう嫌だった。
また魅力的に感じていることもあった。
犬を3匹飼っていること。テリアとラブラドールがいるらしい…ここにいけば犬とまた暮らせるのかな。犬を抱き抱えて笑顔で写る写真の女性も優しそうだ。
住んでいるランドという場所も情報は少ないが海の近い穏やかそうなところだ。

怖いけど、行ってみようか。
こうして私はこの女性にコンタクトを取り、
パッキングを始めたのだった。

そんなこんなでランドという場所の
このお家にたどり着いた。
心配していたことは全て杞憂に終わっていく。
女性はとても優しい方で私とゆっくりコミュニケーション取ってくれるし分からない単語があればスペルを教えてくれることもある。
薪割りしなきゃいけないんじゃないかと思いYouTubeで付け焼き刃の予習をしてみたけどその必要もなかった。(そのことを言うと彼女は笑っていた)沢山ストックのある薪を地下倉庫に積み上げることだけが私の仕事だった。

そして犬たちはやっぱり最高ラブリーに可愛い。(「天使になでなでとハグを」に犬たちのこと書いています)
謎めいていたランドという場所は本当に美しく穏やかな場所だ。

もう終わると思っていたカナダ生活だけど
今また新しい場所、人、動物をどんどん好きなっていく。

「…ここに来てよかった。」
話は冒頭に戻る。

空気の澄んでいる晴れた夜はキンと冷たい。
ぼうっと今日までのことを振り返っていると持っていたリードをくんっと引っ張られた。リードの先にはタスピンが早くさんぽに行こうと待っている。
私は今日も家主の女性と3匹の犬たちと一緒に夜んぽに出かける。
明日の朝は朝日が見えるだろうか。
この森から溢れる光は綺麗だろうなと思いながら歩き始めた。


薪に火を起こしてくれる家主の女性
積み上げた薪たち
倉庫でニットの整理 彼女は編み物の先生をしている





次はどんなことを書こうかな。
一気に過去に戻ってカナダに来るきっかけを書くのも良いかも。

それではまた。

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