きょうも傍聴席にいます #読書の秋
「母さんごめん、もう無理だ きょうも傍聴席にいます」
朝日新聞デジタルの連載が書籍化されたこの本を知っている人も多いのではないだろうか。これには、朝日新聞社会部の方々が裁判所の傍聴席で見聞きした29編の人間ドラマが掲載されている。
私は傍聴席には行ったことがない。と言うよりも、一生関係ない(むしろ傍聴席について考えたことさえない)と思っていたが、縁がありこの本を手にすることになった。
おぉ、なかなかのページ数。。。フィクションが好きな私は果たして読み終えることができるのだろうか、、、と不安になったのが最初の感想である。
しかしどうだろう。読み始めてみるととても読みやすい。数日に分けて読み終えられればいいなと思っていた最初の気持ちとは裏腹に、あっという間に数時間で読み終えてしまった。
29編、個々の話については追求しないが、それぞれのストーリーが簡潔で分かりやすく、想像しやすい。朝日新聞社会部の方々の感想ではなく、あくまでもただただ見聞きした事実を書いているこの本に私はどんどん引き込まれた。
そして全てを読み終わった後に残るこの感情、もどかしさ、やるせなさは何だろうか。
思いやりのある親切な人々と世界から言われる日本人。そんな人々が暮らすこの国でも、さまざまな事件が日々起きている。テレビや新聞、向こう側で起きていることであり、こちら側ではないと勝手に思い込んでいた事柄が、本を通してとても身近に感じた。
2022年も残りわずか。もし少しでもこの本に興味があれば読んでみてほしい。他人事ではない出来事がそこに書かれている。
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