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【全文無料】ゲムマの説明書100本の指摘をまとめてみた(ゲムマ22春) :ゲームのルールの伝言ゲーム

こちらはアナログゲームマガジンの連載「ゲームのルールの伝言ゲーム」の14回目、今回の記事は全文無料にて読むことができます。文字数は約4,700字です。

はじめに

以下の特集記事、私も書きました。読んでもらえると嬉しいです。
気になったゲームがあれば、BOOTHなどの通販で買えるかもしれません、是非チェックを。

100ルル、まとめてみた

4月23日・24日のゲームマーケット春、出店・運営された方、参加された方、おつかれさまでした。

上記リンクの記事にも書きましたが、ゲームマーケット春で頒布予定のゲーム説明書をちょうど100本読みました。
本記事では、その100本それぞれの「気になったところ」について集計結果をとりあげていきます。

【ただしがき】
・ゲームの実名は挙げません。
・自分がデータで読んだ時点の説明書についてです。修正されている可能性があります。

なお、ゲームマーケットの開催ごとに、似たような記事をアップしようと考えています。願わくば、本記事が周知されて、同じような指摘が減りますように。

ということで円グラフです。

仕様上、件数順に並べておりません。ご了承ください。

件数ごとのランキングにすると、以下の通りです。20位までです。

1位   表記が足りていない(重要でない部分について)
2位   誤解しやすい表現になっている
同率3位 一部の文章表現に違和感がある
同率3位 理解しづらい文がある
5位   よくありそうな例外ルールの記載がない
6位   デザイン・レイアウトが見やすくない
7位   内容物の数字内訳が書かれていない
8位   スタートプレイヤーが決められない時の記載がない
9位   表記ゆれ・用語定義が曖昧なところがある
10位   山札の向きが書かれていない
11位   ゲーム準備で言及されていない内容物がある(余りを含む)
12位   欲しいところで例がない
同率13位 誤字がある
同率13位 数量表記が省略されている 
同率15位 内容物の情報についての説明が足りていない  
同率15位 文量を減らす余地がある 
同率15位 例でしか書かれていないルールがある
18位   冒頭に詳細な説明をしすぎている
同率19位 手札の持つ向きを、できれば書いてほしい 
同率19位 初めて出てくる専門用語に「後述」などの補足がない
同率19位 ターンやラウンドを繰り返すための表記が不足している

以下、ランクインしたそれぞれについて、簡単に書いていきます。

1位  表記が足りていない(重要でない部分について)

「一応、こう書いてあった方が、ルールが明確になるのになぁ」という細かな指摘です。

自分は明らかにゲーム慣れしているので、書かれてなくても推測できる内容がほとんどです。ただ、慣れていない方がスムーズに理解するために、細かく書くようにした方が親切でしょう。

「細かく」の内容は、ゲームによって様々です。未プレーの人に読んでもらって質問を吸い上げるのが良いと思います。

2位  誤解しやすい表現になっている

日本語表現は難しいものです。単語の選び方、並べ方一つで、誤読されるおそれがあります。
日本語の問題のため、こちらもパターンは様々です。

例を入れることで、誤解を減らすことができます。

同率3位 一部の文章表現に違和感がある

大きな問題はないです。
たとえば……
・口語調が混じっている
・余分な表現がついている(例:「なるべく」)
・他の単語・表現に置き換えた方が分かりやすい
・表現が堅い

ルール理解にも説明にも役立ちそうなものとして取り上げたいのは、次のような文章です。
例えばアクションでできる選択肢が3つ以上の場合に、
「下記のいずれか」ではなく「下記の3つのアクションから選んで……」とした方が、ルールを把握しやすいです。

同率3位 理解しづらい文がある

ただ違和感ある文章とは違い、理解できない文に出会ってしまった場合、ルール理解の放棄につながりかねません。
なるべく1文を短くし、簡潔にします。

人に読んでもらったりすることで、問題の大きな部分ほど解決するでしょう。例をあげるのも良いです。

5位  よくありそうな例外ルールの記載がない

代表的なものは、「〇〇がなくなった時にどうするか」「マイナス点になるか」「得点トラックで同じマスにいる場合の優先権」です。

ゲームによって、よく出てくる例外は違うと思います。テストプレーをしていく中で出てきた質問を拾うことが大事ではないでしょうか。
そして、類似ジャンルの作品の説明書に出てくる記述が参考になると思います。

6位  デザイン・レイアウトが見やすくない

広告しかり、目に入るものの視認性はとても大事です。
字が詰まっていない、フォントや背景色の工夫、図の分かりやすさなど、説明書の読みやすさに力が入っているかどうかで、読み手の「とっつきやすさ」は大きく変わってきます。

必ずしもプロを雇ってデザインしなくても良いです。
ただ、「とっつきやすさ」=遊びやすさです。ひとさじの工夫をおすすめします。

デザインは詳しくありませんが、いつか記事を書きます。

7位  内容物の数字内訳が書かれていない

自分がカードゲームのルール説明をする際には、カードに書かれた数と、それぞれの枚数をざっくり説明します。
それらの情報は、戦略的にとても大事だからです。

逆に言えば、数字の内訳が書かれていない場合は、カード自体を見て数えることになります。細かく書いておいてほしいところです。

8位  スタートプレイヤーが決められない時の記載がない

スタートプレイヤーの決め方が個性的なのは、アナログゲームのお約束です。「最近〇〇に行った人」「一番〇〇が好きな人」などです。

アナログゲーム慣れしているしている人は、これらの記載はスルーしてジャンケンで決めています。
ただ、説明書を文字通り守りたい人、お約束と知らずにスルーできない人のために、個性的な決め方では一人に絞れない時の逃げ道が欲しいところです。

望ましい表記方法は、「一番〇〇な人がスタートプレイヤーです。もし決められない場合は適当な方法で選んでください」です。

9位  表記ゆれ・用語定義が曖昧なところがある

2か所以上で出てくる同じ専門用語について、それぞれの意味合いが違っていると、読み手は混乱します。同様に、誤字によって、1か所にしか表記のない専門用語が出てきて何の説明もないと、ゲームが進められないかもしれません。

特に前者で顕著だったのが、「狭い範囲の〇〇」と「広い範囲の〇〇」を同じ「〇〇」で呼び分けてしまうことで、誤読されやすくなっている表記です。
範囲とは、定義だったり、物理だったりです。

10位  山札の向きが書かれていない

一般的には、カードの裏を上にして積みます。
ただ、どちら向きかを書かないと、確信はできません。
原則、書いておいてほしいと思っています。

11位  ゲーム準備で言及されていない内容物がある(余りを含む)

カード、ボードなど、内容物について、ゲーム準備の中でどこに置いておくか、プレイヤーに配布するかを記載します。
内容物の全てについて、複数あるキューブ等であればそれぞれの行先も含めて、細かく書くようにすれば問題はありません。

プレイ人数が少ない場合に、余ったものをどうするか、「箱に戻す」等書いておくと親切です。

得点のメモ・記録が必要な場合に、記録用の内容物が入っていない時は、その旨書いておくことをオススメします。

まれに、プレイヤーに配布する記載そのものが無いことがあります。

12位  欲しいところで例がない

本記事の2位は誤解しやすい表現、3位が理解しづらい文がある、です。
もしも、気を付けて文章を書いていたとしても、大事なルールが誤解されてしまえば、面白さがかなり損なわれてしまうかもしれません。

そのため、メインとなるシステム・ゲーム性の部分は特に、例をあげることを強くお願いします。

同率13位 誤字がある

大きな問題ではありません。
ただし、まれに数字の間違いもあり、それは混乱の元なので気を付けたいところです。

同率13位 数量表記が省略されている 

「移動する」「カードを出す」
何歩でしょう。何枚でしょう。「1」を略すと誤解されやすいです。

また、「相手の手札を確認し、1枚捨てる」というように、「全て」が書かれていないこともあります。
数値はゲームの勘所です。明確に書いておきたいです。
所持数などの上限も同様です。

同率15位 内容物の情報についての説明が足りていない

いくつかの種類があるカードの見分け方、裏がカードによって柄が違う場合の表と裏の見分け方など。  

カードに書いてある数値(たいていは専門用語が名付けられています)やアイコンの説明がないこともあります。

同率15位 文量を減らす余地がある 

だいたいの人は、長い文章を読みたくはありません。
また、長ければ長いほど、必要な情報へのアクセスが難しくなります。

少し違いがあるだけで、他は重複した内容が書かれている。
そんな段落があれば、2カ所目以降は違いの説明だけに留めることで文量が減ります。

また、カード効果での例外処理について、カードごとに似た内容があれば、統一された例外ルールとして記載しておけば文量が減ります。

同率15位 例でしか書かれていないルールがある

12位の逆です。

私は、読む文量をなるべく減らしたいので、例はあまり読みません。イメージ図は必要に応じて確認します。
それらには書いてあるものの、本文には書かれていないルールがあれば、読み飛ばされてしまうかもしれません。

例やイメージ図はあくまで補足です。

18位 冒頭に詳細な説明をしすぎている

自分用語で「いきなり」「イキナリズム」と呼んでいます。

読み手の多くは、説明書を冒頭から読み進めます。
ゲーム概要や内容物、勝利条件、フローチャートなど、大事な情報を中心に冒頭に書いておくと、スムーズに理解できます。逆に、細かい説明が先に来れば来るほど、そこで理解が詰まってしまうおそれがあります。

同率19位 手札の持つ向きを、できれば書いてほしい

山札と同様です。「他プレイヤーには見せない」ことと一緒に書いておいてほしいです。

同率19位 初めて出てくる専門用語に「後述」などの補足がない

読み手は理解できないものに出くわすと、止まってしまいます。説明書のその段階では細かく解説する必要がなく、後半に書かれている場合には「〇〇(後述)」とすることで、「後で理解すれば良いんだ」と安心できます。

同率19位 ターンやラウンドを繰り返すための表記が不足している

通常、色々なゲームでは複数のラウンドを繰り返し、1つのラウンドは1つ以上のターンで構成されています。

例えば3ラウンドあるゲームの説明書で、ラウンドの開始、ラウンド内で行うことが順番に書かれているとします。
その後、ラウンドの終了時に、「カード・ワーカーを戻す」「カードを全てシャッフルし直す」「スタートプレイヤーマーカーが左隣に移る」といった、ラウンドの開始時の状態に戻るような内容が書かれていないと、ゲーム慣れしていない人では2ラウンド目がうまく始められないかもしれません。

特に、繰り返すターンやラウンドの「終わり」の表記に注意しましょう。

おわりに

1位から3位まで、正しく伝わる文章表現の難しさを感じました。これらは即効薬がありません。
ともあれ、何か一つでも参考にしていただければ幸いです。

以上です。
指摘の見落としも多いと思うので、今後も精進したいです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

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