米倉さん

世界の社会的課題を解決する「ソーシャル・イノベーション」に特化した学校で貢献しようと邁進している米倉誠一郎さん

日本経済の20年の停滞を打ち破るソーシャルイノベーションを推進する人材の育成に可能性を感じて取り組んでいる米倉誠一郎さんにお話しを伺いました。

プロフィール
現在、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、一橋大学イノベーション研究センター名誉教授。一般社団法人Creative Response: ソーシャル・イノベーション・スクール学長。
一橋大学社会学部、経済学部卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。ハーバード大学歴史学博士号取得(PhD.)
1995年一橋大学商学部産業経営研究所教授、97年より同大学イノベーション研究センター教授。
2012年〜2014年はプレトリア大学GIBS日本研究センター所長を兼務。また、2001年から『一橋ビジネスレビュー』編集委員長。
イノベーションを核とした企業の経営戦略と発展プロセス、組織の史的研究を専門とし、多くの経営者から熱い支持を受けている。
著書は、『イノベーターたちの日本史:近代日本の創造的対応』(東洋経済新報社)、『松下幸之助:きみならできる、必ずできる』(ミネルヴァ書房)、『創発的破壊 未来をつくるイノベーション』(ミシマ社)、『脱カリスマ時代のリーダー論』(NTT出版)、『経営革命の構造』(岩波新書)など多数。

いまなぜソーシャルイノベーションなのか

記者:本日はどうぞよろしくお願いいたします。

米倉誠一郎さん(以下米倉敬称略):よろしくお願いします。

記者:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

米倉:日本という国が経済大国でもなく、政治大国でもなく、 軍事大国でもなく、「世界にいてくれてよかったな」と思われる国づくりをしたいと思っています。
そのためには、国連のSDGsに掲げられた 
社会的課題を解決できるソーシャル・イノベーションを実現できる人材育成が大事だと思っています。その結果、「日本がいてくれてよかった」と世界から言われるようなビジョンを持っています。

記者:それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
米倉:人材育成の。ソーシャル・イノベ学校を創りました。ソーション・イノベーションはAIや政治がやるのではなく、ひとりひとり人間の力が必要だと思い、2020年1月学校を立ち上げました。それがソーシャル・イノベーションスクールなんですが同年4月24日から開講します。
三菱地所さんが協賛をしてくださり大手町有楽町界隈を活性化したい。SDGsやソーシャル・イノベーションのメッカとしてこの界隈が注目されたらいいなと考えています。「2枚目の名刺 未来を変える働き方」という本を講談社から出しましたが、大手企業人材の能力を多重活用したい。日本の大企業には素晴らしい人材が蓄積されていますが、生かされてないのではないかという問題意識があります。
僕はアンチ巨人なんですが、阪神に行けば活躍できるのに巨人と言う名前にこだわって人材が活かされてないと思っていました。大企業人材も同じで、一歩外に出てみればものすごい活躍の場所がある。現在の働き方改革や副業解禁という流れを利用して、そういった人達が 2枚目の名刺を持って活躍する場を創りたいのです。そういう思いを持って僕はかつて六本木で同じようなことをしてきましたが、結局その思いが理解されないので、そこを引き払い2019年10月に有楽町へ来ました。話しは逸れますが(笑)ここの事務所は窓も何もなかったんですが(笑)、友人や仲間達が窓の絵とかサーフボートとか色々プレゼントしてくれました。(写真)
新しい学校には、目標としては4つの基礎講座のコースを立ち上げ毎年100人くらいの志ある人達を育て行きたいと思っています。

記者:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?

米倉:2月20日から募集が始まりまして4月24日に開校します。現在2コースの募集になります。3月31日までに募集し、1クラス20人定員になります。ひと月に1〜2回で12回で15万で開催予定をしており、 すばらしい講師陣とアドバイザーと共に最高のカリキュラムを準備しています。
 価格設定に関しては、サラリーマンが個人成長に投資するのにどのくらいが限度かを友人たちにヒアリングをして決めました。世の中にはもっと価格的に高いものもありますが、僕がしたいことは志のあるビジネスマンやビジネスウーマンやさらには有能なエンジニアが「こうゆうことやりたかったよね」と集まってきてほしいので、あえて受講料を抑えました。意外にお金はかかりますが、これらがまわっていくように日々努力構築しています。

アメリカは全く違うゲーム、産業育成が始まっていた
記者:そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?
米倉:学生の時から明治維新を専攻しており日本ってすごいと思っていました。  1990年くらいまで日本が負けるわけがないと従業員の質や真面目さ、さらには社長と新入社員の給料の格差14倍とかアメリカとは格差が200倍とかでしたから、そんな形の国に日本が負けるわけがないと思っていたんですね。ところがある人にシリコンバレーに行ったほうがいいよと言われていってみてショックを受けました、全く違うゲームが始まっていたのです。
1997年のアメリカの時価総額1位ってGMなんです、2位がフォード3位にエクソンモービルこれは石油会社、GEとかウォルマートが入っていました。その時の日本のトップ企業はNTT、トヨタや三菱銀行とかでした。それから20年たった2018年は1位はApple、2位Googleなどトップ10にマイクロソフト Amazon Facebookに入れ替わっていますが、日本は相変わらずトヨタ、NTTや日本郵政やJTが入っています。アメリカは全く違うゲームや産業育成が始まっていました。例えば「2020年アメリカの時価総額トップがGM、フォードだったらどう思いますか?」と聞くと「それは遅れてますよね」となりますよね。今の時代にApple,Google,Facebook,マイクロソフトが来てるから新しい時代がきたなーと思うじゃないですか。
しかし、日本をみるとトヨタ、NTTのままなので日本は時代の波に乗り遅れたなと思う訳ですよ。
しかし僕は日本企業がつくれるプラットフォームはあると思いますし、いいモノを作れる力はすごいことだと思います。今更Fecebookやアマゾン、アリババなどを日本企業が超えることは難しいと思います。
アリババという中国の会社は昨年(2019年)の11月に1日で4兆円を売り上げた。我が後輩の三木谷君率いる楽天の年商は3.4兆円ですから、まったく次元が違います。では日本はどのプラットフォームで勝負するんだと思った時に、経済大国としてではないなと思ったんです。ましてや政治大国、軍事大国はあり得ないと思います。
どうやったら「日本があってよかったなー」と世界に思われるかというと、途上国や先進国などの社会的な課題に常に色んな答えをもっているという国だと思いました。僕はこうゆう顔しているのでアフリカとか中東とか好かれていくんですけども、政治家以外で原発がほしいっていう人には会ったことがありません。原発じゃなくて日本だったらいい解決方法をみんなもってるんじゃないかって世界は思ってるんですよ。
2011年の夏、みんなで真剣に節電しようねとしたことが今はすっ飛んでしまっています。
昨年(2019年)はとても暑かったのに節電のせの字もないですよね。これは課題は先延ばしているだけです。世界から日本が非難されているのは「そんなに化石燃料に頼ってていいのかという事実です」日本のCO2 排出は4%前後ですから、アメリカやインド・中国の20%前後と比べるとたいした量ではないと言えます。しかし、なぜ4%前後の日本が非難されているかというと、世界から「日本は技術のリーダーだろう」とそれがまだ化石燃料に頼っている、原発に戻ろうとしているという不甲斐なさに対してなのです。2011年ドイツのメルケルさんは
「日本人でさえもコントロールできないものを我々(ドイツ)が使うべきではない」と言って「脱原発」を宣言したと言われています。ましてや日本は世界に唯一の被爆国。僕は国を挙げて「脱原発」を真剣に考える時だと思うんです。
社会的課題を率先して訴えていく国がいいなとこれをやろうと。
誰かがやらないといけないことはまずは自分からしていこうと思います。

記者:そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

米倉: 2009年ムハマド・ユヌス博士(2006年にノーベル平和賞受賞)との対談 がありユヌス博士は農民の為の銀行(グラミン銀行)を創設された方で、初めてお会いした時は膝が震えるぐらい興奮しました。世界的にも先駆けて社会的課題をビジネスで解決している方でした。
1974年、世界最貧国のバングラディシュは未曾有の大飢餓に見舞われます。なぜそんなに貧困に苦しんでいるのんだとユヌス博士が農村に出てみたら、たった42人の農民が 29ドルの借金に苦しんでいた。なぜそんなことになるかというといわゆる悪徳小売貸しでトイチどころじゃない利子をとられ、その農民たちは「誰も助けてくれない 貸してくれない」嘆いているのを聞き、博士はポケットにある29ドルを渡そうとしたが「それでは何も解決しない」と銀行をつくったのです。このプロセスは『ムハマド・ユヌス自伝』という本になっています。
バングラディシュは世界中から何兆円という資金援助を受けてきたわけです。しかし、長い間貧困は解決されて来なかった。ユヌス博士は政府から貰うお金では解決されない、ひとりひとりの尊厳を認めて貸し出す50ドル100ドルの方が絶対に効果的だと考えたのです。顔の見えるひとりひとりに少額でも資金を貸し付ける。「そのお金で鶏を買いなさい、そしたら卵を産むから」と。9割りを女性に貸し出していて返済率99%です。グラミン銀行は最初42人から始まって今は800万人に1兆円を貸し出す銀行になってます。現在バングラデシュは最貧国から中貧国になりました。
僕はユヌス博士に出会って社会的課題をビジネスやイノベーションの手法を使って解決できるんだと理解しました。そして、できればそういうことをずっとやりたいと思っていたんです。学生をバングラディシュに100人連れて行ったりしました。

記者;素晴らしい出会いですね!今の学校をつくることにも繋がってきてるんですか?

米倉;学校をつくるきっかけはユヌス博士も2020年で80歳になるので、自分が直接関わらなくてもソーシャル・ビジネスを実践できる Action Tankを世界中につくろうと、提唱しました。それを受けてJapan Action Tankがユーグレナの出雲充氏を中心に2019年4月に設立されました。ユヌス博士が提唱する「3つのゼロの世界、貧困0、失業0、CO2排出0」の世界を具現化するための組織として発足され、僕はその理事になりました。
しかし、Japan Action.  Tank設立後にソーシャル・ビジネスに対する考え方に相違が生じて、僕は独立して学校を2020年1月に開講しました。
目標を決めたんです「世界に日本があって良かった」ソーシャルなイノベーションを持ってきてくれるそんな人材をたくさん育てたいと。

記者;本日は貴重なお話しありがとうございました。

米倉さんの情報はこちらです
↓↓↓
https://www.facebook.com/yonekura.seiichiro/posts
https://web.cr-sis.com/

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【編集後記】
インタビューを担当した、高橋と土岐です。
米倉さんの「日本はやればできる!」という力強い言葉に、私達も勇気を頂きました。改めて日本のことをもっと知りたいし学びたいと思います。
今後の益々の活動を楽しみにしております。

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この記事はリライズニュース マガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載しております。
https://note.com/19960301/m/m891c62a08b36

「1日でも1秒でも早く日本のロックダウンを要求する1000万人の署名を求めます!!」に賛同いただきました。ありがとうございます。

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