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素晴らしき哉、サントラ10:『COLLATERAL(コラテラル)』

またしれっと再開。書きたい、出したいものがたくさんあるのに、暇がなくて手がつけられない。で、見直してみて、前回がドラマなので、今回は映画。2004年の『コラテラル』です。

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トム・クルーズが殺し屋を演じ、この頃ノリにのっていたジェイミー・フォックスがタクシーの運ちゃん。ある夜運ちゃんがたまたま殺し屋を乗せてしまい、暗殺巡りに付き合わされて……というたった一晩のお話なのですが、シリーズ物のときとは違う、グレイヘアがなじんでいるトム君の抑えめの演技と、アップが多かったり、L.A.の夜の不穏なのに美しい感じなどがよく伝わる映像の美しさ、そしてこの音楽の使い方で、なぜかめちゃ好きな映画です。

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いくつかのオリジナルスコアと、既存の曲のミックスになっているサントラ。1曲目の『Briefcase』は不穏な物語が始まる予感に満ちている、コレは多分オリジナル曲。2曲目『The Seed (2.0, Extended Radio Edit)』は、The Rootsという黒人さんのバンドに、Cody ChesnuTTが加わった曲……らしい(基本サントラで聴いていて、それぞれのアーティストを知らないままのことが多い)。でもジェイミー・フォックスがタクシーを流す時にかかるミディアムテンポのノリの良い曲。

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3曲目『Hands Of Time』というGroove Armadaのメロウな曲なんだけど、調べてみたらイギリスのテクノ・ユニットってなってるけど、全然そんな雰囲気じゃない曲です。この中ではちょっとホッとする曲。

で、1曲ずつ説明していると終わらないので、やや割愛し7曲目、The Green Car Motelという『Destino De Abril』というスペイン語の曲が、やるせないダラダラとした雰囲気満載でかなりよく、ギターの鳴きのメロディーがよいです。アメリカ版演歌っぽい(笑)。映画ではバンドがこの曲を演奏している。しかしこのアーティストの情報がないっ。YouTubeでは二人組の男性が出てるけど、公式なものじゃないようだし……謎。あとこの頃から、映画に使われる楽曲にスペイン語のものが増えてきた感じがします。

そして!

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8曲目、Audioslaveの『Shadow On The Sun』という曲が最も好き。映画内では、トムとジェイミーがタクシーに乗っている時に、街中でコヨーテに遭遇するシーンでかかるのだけど、街中に突然野生が介入してくる感じと、文字通り一匹狼が殺し屋のイメージとダブるのと、で、とても印象的なシーン。ラウドなハードロックな曲で、そういう曲が大好物なのと、場面の印象が強くてこの曲を聞きたくてサントラを手に入れた。バンドは元レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのメンバーと、に、元サウンドガーデンのボーカリスト、クリス・コーネル が加わったという鳴り物入りバンドだったんですね。弦の単音から始まってだんだんラウドになっていき、ラストに向けてはシャウトする展開もカッコイイ。

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そして12曲目、出ましたPaul Oakenfoldの『Ready Steady Go (Remix)』は、ズンズン系の曲がかかっているクラブでトムが殺しを行う場面で激しくかかっている。トランスといえば、みたいないかにもな曲だけど、個人的にこのテのも嫌いじゃない上に、使い方上手かったと思う。10曲目にマイルス・デイヴィスの『Spanish Key』なんて曲も入ってます。そしてラストの16曲目、『Requiem』もすごく好き。Antonio Pintoという人の曲で、ブラジルの映画音楽作曲家なんだ。知らない人がたくさんいるな~。この人の曲はもう1曲『Car Crash』というのも入ってます。

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『Requiem』はエンディングを盛り上げるにふさわしい、ハードな一夜が終わって明けていく時間、の曲。コレがラストなので、基本的にストーリーの順を追う感じでサントラの曲も並んでます。あ、15曲目、『Finale』も後半へ向けて盛り上がる展開がいい~~。決して号泣とか人生を変えるような衝撃があるとか、そういう映画ではないのだけど(でもこの曲聴くとラストの絵のイメージと一緒になって、若干気持ちは泣ける)、映像と音楽と恐ろしいほど自然体のジェイミーと、今もこのくらい自然な老け方だといいのにね、なトムを愛でながら楽しめる映画です。


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