見出し画像

映画感想012『ビニールハウス』 半地下はまだマシ、、まじで。。。※ネタバレあり

「半地下はまだマシ」のキャッチコピーでお馴染みの
韓国映画を見た。

家族もいるし、みんな明るいし、、確かにまだマシ。。。

都会の貧困層が半地下の部屋に住むよりも更に酷い。
家でさえない、農地に建ったビニールハウスを住居とした人たちは
社会問題になるぐらい、多くいるそうだ。

キムギドク監督の『嘆きのピエタ』でも
借金を抱えた夫婦がビニールハウスに住んでいたのを思い出す。

また、見よう。。。

しかも今回のビニールハウス。
大きさは立派だけど、ただ日よけのビニールがかかった
風通しの良さそうなビニールが覆われただけのものに見えた。
しかも、天井は隙間がいっぱいで、虫が這って入ってくる。。。

冬、、寒そう。。。

お風呂とか、ガスって通ってるの?
電気とかも気になった。。

主人公役のキム・ソヒョンは不幸そうだけど
顔はキレイ目だし、身なりも綺麗だ。

もう少し、お風呂をどうしてるとか
何を食べてるとか
洗濯をどうしてるとか
ダルデンヌ兄弟ぐらい描いて欲しかった。。。


『ロゼッタ』いいことなんて一個も起きないけど、いい映画だよなぁ

が、しかし!

おもしろかった!!!!

もう不幸過ぎて、逆に笑っちゃう。
ひとつも笑えるシーンなんて無い!

でも、もう顔はこわばって、可笑しいことなんてないのに
もう筋肉が勝手に反応して笑いが起きてしまう感じ。。


こんな感じ。。三角締めさんみたいな文体になってしまった。。

高圧的な少年院にいる息子
こんな奴と絶対に一緒に住みたくない
でもそんなことが唯一の夢というか希望。。。

不幸映画の金字塔、ラースフォントリアー監督の『ダンサーインザダーク』だって唯一の希望である息子はかわいかったのに!!!

無邪気でかわいい息子。唯一の希望という説得力

こんな息子が唯一の希望という、どん底感をどこまでも意識させられる。
家族なし。
友達なし。
家なし。
趣味なし。
希望なし。

どん底だ。。。。

結構どん底だけど、、、まだ仲間いるしなぁ。喧嘩する元気あるしなぁ

仕事である介護をする老夫婦も
また別のどん底にいた。

認知症の妻と盲目の夫

盲目でありながら、自身の認知症が発覚して
自分自身を信じられなくなり自我が崩壊していく

唯一の友人ぽくなる女の子も
精神病というか、障害者っぽい危うい子
この子はこの子で相当辛い。。。

どん底スパイラルの結果

認知症の妻を誤って死なせてしまい、、
自身の認知症の母とすり替えて、なんとかごまかすも

その事によって、盲目の夫は自身の認知症を疑い
悩み、遂には主人公の母と一緒に自殺

障害者の女の子は主人公の何気ないアドバイスの結果
自分を保護してくれている男による
性加害に我慢できず刺し殺してしまう

主人公は一応唯一の希望であった息子を
ちょとした偶然の末
ビニールハウスと死体と共に
焼き殺してしまう。。。

そんなことも知らずに主人公は歩いていく。。。
この後の更なる不幸を想像させながら
映画は終わる。。。

ゲロ吐きそう。。。

その日は吉祥寺のアップリンクで
観たい映画が丁度良い時間で上映していたことにより

朝いちから
リュックベッソン『ドッグマン』
ホウシャオシェン『ミレニアムマンボー』
「悪なき殺人」で話題を集めたフランスのドミニク・モル監督の
『12日の殺人』
そして、ラストに『ビニールハウス』だったので

本当に目も体も疲れ切っていたので
もう本当に映画と共にドンヨリしてしまった。

でも、でも
面白いぐらい不幸過ぎて、良い映画でした。
しかも、これが創作の不幸でなく
ほんとにこういった貧困や不幸が現実にあるという
実感を持たせながらのフィクションであって
ほんとに、、いい意味で
ゲロ吐きそうになったのだ。
もう何も出てこないけど、ずっと吐き気が続く感じのやつだ。


ただただ、しいて言えば

主人公が冒頭から自身の頭を叩く自傷行為をしていた所
顔のつくりは美しいのだから
もう少し、元はまともだったけど
どん底が続いたせいで、どんどん気がくるっていき
身なりもひどくなっていき
ラストの家燃やしに続いた方が、僕好みでした。


会う人、みんなに薦めたいなぁ!!!

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?