涙の理由。

( なんで泣いてるの？泣きたいのはこっちの方なのに )

ゆるされない過去がある

誰かにとって
ゆるされない過去

謝ったら、容易くゆるしてもらえるだなんて思っていないけど
謝っても、ゆるされなかったら、お辞儀してそっとその場から身を引くしかない

まるで、別人をつくるかのように

過ち を 隠すように上書きしていく

服
持ち物
好きなモノ
吹っ切れたようにお金で 隠す

泣いたら負けだと
忘れるようにお金で 隠す

隠し
取り繕うのに
必死だった

文字通り、死んでいた
確かにあの時は
自分が無かった

心ない
これだけのことで、目の前から消え薄れていくものは多かった

時は経ち

( こんな感情さえなかったら、こんなこと思わなくて済んだのに )

心ない
自分までも
目の前から消え薄れていく…

( ごめん、そんなつもりはないのに )

零れそうになると反射的に少し上を向く

透き通るさくらいろ
日に照らされた花弁の先がキラっとした

頭の渦からおへそまで 流れてく
過ち 全て 浄化していくような感覚

おへそから爪先まで、どんな状態になっているかまで気が向かない

( ゆるしてくれるの？ )

冷やりと仰がれた花弁の先がキラっとした

隠していたものが ガタガタ反応する
上に隠していたモノが 幻のように消えて
堪えきれなくなって
反射もできなくて
止められなくて

( なんで？いやだ )

零れたまま 止められなくて

冷やりと仰がれ揺れた髪が 頬を強く撫でた

( ここまで来ても尚、隠す のか..
..もしかして 泣くのもゆるしてくれてるの )

綺麗に咲いた姿に
美しいと思うのも
まだまばらな姿に
待ち遠しく愛でるのも
ひらひら舞う姿に
心奪われるもどこか切なく感じるのも

この道を通ったからだ
この姿をみるために通ったわけじゃない けど
歩いてこなかったら 出会えなかった
みれてよかった

偶然は、いつも、必然のように目の前に現れる

( なんで泣いてるの？泣きたいのはっ..
..もしかして、一緒に泣いてくれてるの？ )

耳にかけ、肩の後ろになびかせる

私の頬もキラっとした

( 私も。
私も、ゆるせる存在でいたい )