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ご近所日記

みなさん、こんばんは。今日はとても天気が良くて最高気温は17度、春らしい春の一日でした。IKEAに行ってこまごまとしたものを買ったあと、駐車場のインビス(軽食屋)でカレーヴルストを立ち食いしました。東欧系のおばちゃんが代々経営しているらしい古めかしい店で、ビニールで囲われただけの空間なのに、田舎の家の居間でソーセージを戴いているような気持ちになりました。

私の住んでいるところはノイケルンという地区で、ベルリンの中でも治安が悪くて有名です。エキゾチックで刺激的な雰囲気が若者たちに人気という側面もあるのですが、悪夢のような住宅事情の現在のベルリンで居住地域を選ぶなんて贅沢極まりありません。ですから、選んでここに住んでいるわけではなく、好んでいるわけでもない。しかし、よく考えてみれば、実はベルリンに住んでいる計3年のうち、ほとんど2年間はノイケルンに住んでいることになります。なんだかんだで好きなのかもしれません。地下鉄の駅に行けば酒瓶で殴り合いやホーム上での薬物摂取は日常茶飯事です。最初はびっくりしますが、次第にそれらも風景になってゆきます。花鳥風月と同じです。「ああ、あのおじさん、今日は頭にアルミホイル巻いてないな」とか、「あのビール大好きおばさん今日は犬連れてないな、どうしたんだろう」という感じです。駅にたむろする常連の方々が一般市民に関わろうとすることはほとんどありません。小銭が欲しいと言ってくる人は時々いますが、断ればそのまま立ち去って行きますし、10セントか20セント渡せば大体はお礼を言ってどこかに行ってしまいます。ごくまれに差別用語を吐かれることもありますが、気にしていたら生きていけません。それもまた、花鳥風月の一部です。

朝の地下鉄の駅のホームで、明らかに薬物中毒の顔色のお兄さんとすれ違いました。お兄さんが手にしていたのはEDEKAのプライベートブランドのハムと食パン。歩きながらサンドイッチを作ってもぐもぐと食べていました。私も本当はそれが好きです。焼いていない食パンにEDEKAの一番安いハムを挟んで食べるの。そこにマヨネーズを塗ってもおいしいです。そして食には時間をかけたくないタイプでもあります。だから、「仲間!」と心の中で呼びかけて、見送りました。お兄さんはフラフラと横に軽く揺れながら、ホームの黄色い線の外側を歩み去りました。

皆さまどうぞ良い夜を。私はもうすぐ夕飯を食べます。


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