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この世はわたしより出来た人だらけ

わたしには何が与えられているのでしょうか?


変わり映えしない日々だと思う。
そんなことを考え、あまりにもありきたりな表現だと自分で指摘しながら、自分に才能が無いことをうらみます。
生活はあいもかわらず苦しく、貯金の目標は達成できずに昨年を終えました。
毎食似たようなジャンクフードをかき込むか、何も食べずにいるここ1週間、もしくは数年間の出来事を、ろくに思い出せないくらい、ありふれて価値に欠けた暮らし。
振り返れば、もう記憶にないほど以前から、何もかもがクリーニングでも落とせないシミのようにままならなく感じています。

中学生の頃、吹奏楽部に所属していました。
ある時、音楽教室の集団レッスンに参加してみたら、わたしより上手い人ばかりでした。
わたしより年下でも、わたしが出来ないことを当然のようにこなしています。
上達したいというより、恥ずかしくなりました。

高校では美術部に入りました。
なんやかんやで県大会の上位までは進みました。それなりによい結果と言えるでしょう。
しかし、上には上がいるものです。
ここが芸術のスポーツとは違うところで、初の大会で全国出場するような人が、本当にいます。
後輩も、常にお喋りしながら描いてる子が全国に出て、いつも真剣な子が地区大会止まりでした。
そこそこに過ごしている子が東京の美大を受験して、一番本気の子が地元の大学に行く余裕さえなく専門に進みました。

金銭面においてはわたしは後者でした。
自分で言うのもなんですが、高校3年間ずっと得意科目の成績は学年トップクラスでした。
でも服も靴も安物ばかりでした。
ちょうど高校生の頃に、コンバースとウィンドブレイカーが流行っていたのです。
クラスメイトが可愛い柄のコンバースを履いて、mont-bellやノースフェイスのウィンドブレイカーを着ている中、全身イオンとしまむらなのが本当に嫌でした。

大学に入っても状況はよくなりません。
むしろ悪化する一方でした。
大学でもそれなりに成績はよかったのですが、友人たちのなかでもワースト級に生活の余裕はありませんでした。
外国語系の学科を選んでしまったので、周りは海外旅行経験者ばかりで、1年生のうちから長期休みに短期留学をする人も多かったです。
そんな中で、一度も日本を出たことがないのが恥ずかしかった記憶があります。

現在は学生時代より少し世界が広がりました。
高校生の頃からお小遣いは全て自分でバイトの子もいるとすでに知っています。
色々な場所で中卒から院卒までの人と出会いました。
生活に複雑な事情のある人から、お金にまったく困ったことのない外交官と医者の子供まで話したことがあります。
暮らしは十人十色で、そして誰も悪くありません。

はっきり言ってしまえばピンキリの世界で、わたしは大学に行けただけ恵まれているといえるでしょう。
大きな持病がないのも幸せでしょう。
その事実もとっくに知っています。
この文章を読んだ人の誰かがそう思うであろうことも。
分かっていてもなお、わたしには全てが欠けている気がしてならないのです。

これを書いている今も、才能のないわたしの文章は客観的にはつまらないのだろうと思っているし、以前に似たようなことを書いたような記憶もあります。
他にネタがないと認めざるを得ません。
noteの記事に向き合っている間中ずっと、たくさんのスキが並んだ他のアカウントのページが頭によぎります。
ほとんどスキのついていないわたしの記事も。

仕事だって、出来ていない訳ではないけれど、いつも周囲から浮いている感じがしています。
常に本当は暗い自分を偽っていて、それでも、世間の普通にはなりきれないのです。
一生このまま孤独ではないかと不安になります。

疲れて帰宅した部屋には、“ていねいな暮らし”のての字もありません。
毎朝美人とは言えない顔が鏡に映り、どうにかこうにかしまむらからUNIQLOに格上げしたタンスの中身を漁っています。
UNIQLOのタグを見る度に、高校時代の買い替えなかったボロいカバンとZARAやTommy Hilfigerを着ていた大学の知人を思いだします。

重たい持病がないのは事実ですが、毎日のように頭が痛いです。
気圧がひどく下がった休日には、何も辛いことはないのに、布団でうつ伏せになって両腕で頭を抱えて過ごしています。
目を開けると、わたしが2つに引き裂かれるのが見えます。
もうひとりの自分が身をよじる横で、気が向けば冷たい菓子パンをかじるのです。
下戸ゆえ酒に頼りもできず、いたって正気のまま、ただただ何もしていません。
知人はもうパートナーと同棲しているか結婚している歳なのに。

望んだもの全て手からこぼれ落ちてゆく人生でした。
趣味の才能はおろか、普通に生きてゆく素質さえなかった。
きっとこのまま、生まれた時から与えられなかったものたちを、努力してもわたしには届かない世界を眺めて時が経つのです。
そしてこんな愚痴を垂れ流すしか出来ない人間として、一生を終えるのです。

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