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犬のいない部屋で犬を想う

休職して4ヶ月目。
毎日、なんて事のない1日を自分の部屋で過ごす。

朝、ゆっくり起きて、ご飯を食べて、身の回りの片付けをし、
日の差し込む部屋の中で本を読んだり、PCに向かったり。

今までは、犬がいても会社員として平日は会社にいる生活。
昼間に部屋にいることなんてほとんどなかった。

お休みに入って、昼間になると
部屋にはこんなに日が差すんだと、初めて知った。

犬は、こんな毎日を生きていたんだなと、
昨年の夏に死んだ犬に思いを馳せる。

暑かったんだろうか、寒かったんだろうか。

夕方になるとだんだん部屋の中も薄暗くなってきて、
それにつれて部屋の中も、すっかり涼しくなる。
人肌恋しいような気持ちになる。

気温が変わるから、犬も目が覚める頃だろうが、まだ私は帰ってこない。
夜、すっかり日が暮れて私が帰ってくるまで、誰が来るわけでもなく寝たり起きたり、ひとりで過ごしていた。深夜まで帰らないことだってあった。

犬の時間は人間よりもはるかに長い。
犬にとって、ひとりでいた時間は人の体感する何時間に相当しただろうか。

来る日も来る日も、
夜帰って、数時間だけ一緒に遊んで、一緒に寝て、
朝、散歩してまた出社する。そんな時間を過ごしていた。

犬が病気になってからは、
朝早くに出社して夕方過ぎには家に帰るようにした。

夕方、まだ日があるうちに家に帰ると、
犬はなんだか嬉しそうだった。
私も、嬉しかった。

きっと、少し寂しかっただろうね。
一生分、寝てしまったのかもしれない。
今更、気がついたって仕方がないのに、
失って初めてわかることがある。

たくさんの犬の写真を眺めながら
もうこの世には居ない犬と心の中で会話し、
何も考えずに会社員をしていた自分を恨み、
幸せだった日々と
夕暮れどきのような寂しさとが交互にやってきて、
胸も喉もきゅっと締め付けられ、切ない気持ちになる。

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