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Seattleへ。 (2)

逃亡・・・。

仕事から。自分から。
いつのまにか、悲しく苦しく、孤独な気持ちだけで満たされた、そんな日常からの逃亡。

会社を休むことにしたのは、この10月。
毎日必死でくらいついて自分を励まして頑張っていたけど、悲しくて張り裂けそうな気持ちを隠すことで精一杯。あたまが軋んで、手足が麻痺して、なんで笑っているのか、なんでお腹がすくのか、味もわからないのにご飯を食べて、毎晩お酒を飲んで苦い心を飲み込んでいた。眠るけど、1−2時間おきに目が覚めて。毎日のように悪夢をみて。よく転んで足を怪我していた。そんな生活だった。

お医者さんが休んでいいよといってくれて、ようやく休むことができた。

おかしくなったきっかけは、犬が闘病の末に亡くなったことだった。春から夏にかけた濃密な4ヶ月。満7歳と数ヶ月という若さでウチの子は死んだ。
体調が悪くなる様子を見届けるのは、とても怖いことだった。

夜、お医者さんに連れていけない時間に異常がおきたらどうしよう、と思うと、飼い主としての無知さと無力さを感じて、あー、車を運転できれば、車を持っていれば。なんて現実的なことに後悔した。

"あざやかな太陽や明るさを感じることのない、8月だった。この数ヶ月の緊張が、ウチの子との幸せな思い出をかき消し、私の記憶を悲しみで上書きした。心の線は消えかけていて、へとへとだ。" 

というようなことを日記に書いていた。

休むようになってからは、朝、無理やり起きなくてよくなって、気持ちは楽になった。眠れないのは相変わらず。薬を飲んでも、効かない、そんなことがあるのね、なんて思った。

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