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ニューヨーク紀行⑯ 博物館のおばちゃん

先日眺めるシリーズでも載せた、アメリカ自然史博物館の話を書こうと思う。

ニューヨーカーは人懐こいの巻

ニューヨーカーに限った話ではないが、
照れ屋さんの多い日本と比べると、やはりコミュニケーションを積極的に取ってくるのが海外だと思う。

この旅では、我々はよく話しかけられた。
挨拶をひと言ふた言交わせば心が通じる感じがなんだか心地よい。

最初は、日本人はカモだからなのかと思っていたが、先日書いた地下鉄のおっちゃん、買い物に来ていたカナダ人のご婦人、飲食店から出てきたおっちゃんなど、バラエティに富んだみなさんなので、カモ説は薄いと信じたいところである。

博物館のおばちゃん、親日家だった件

「日本から来たのかい?」という会話はこの旅でよく登場したシーンだ。
思っていた以上に、アジア人の見分けがつくらしい。

我々は博物館に入って速攻で出くわした長蛇の列について、入場口のおばちゃん(と言ってもとても気品あふれるご婦人)に尋ねたのだが、この時もおなじく「From Japan?」と聞いてきた。(もしかしたら英語の発音でバレるのかもしれない)

「ワァ〜ォ!コニチハ! I love Japan!」

と、とても素敵な笑顔で嬉しいことを言ってくれた。

博物館の長蛇の列への絶望感

話に戻ると、おばちゃんに尋ねたのは、
「あの列なに?バウチャー引き換えの列?並ばないといけないやつ?」みたいなことだった。

おばちゃんは、
「そうだ、あそこへ並ばないといけない。あなたの持っているものは何?見せて?」
と言って、私たちのバウチャーチケットを顔から遠ざけて読もうとした。

そして、残念な顔をして、
「あの列だね〜」
と言った。

うわぁ・・・まじでかぁ・・・

見るからにTHE・長蛇。
1時間半はかかりそうだ。

並ぶのが嫌いな我々は普段だったらすぐ帰っているところだが、ここまできて帰るのはさすがに惜しい気がする。

「どーするー?」と顔を見合わせて話していた。

博物館を裏口入場させてもらうの巻

するとおばちゃんは、近くに立っていた警備員のおっちゃんに何やら説明し始めた。

ざわざわしていてよく聞こえなかったが、身振り手振りから勝手な解釈をすると、

「この二人、日本から来てるのよ。あの列めっちゃ長いから、地下の受付から入れるようにしたらだめかしら?」

みたいなことを言っていた。(だいぶ都合良い解釈かもしれないが)

警備員は「No problem.」(にっこり)と言って、こちらに微笑みかけてくれたのだった。

おいおい、なんなんだ、優しすぎるうえに、映画みたいやないか!

そんなことを心で叫んだ。

何となくの理解だが、「地下へ行くわよ」と、おばちゃんに言われるがままついていくと、なんと地下にも列を成した受付カウンターがあるではないか。

(おばちゃんに言われるがまま着いていった我々はもはや小象だ。)


恐らく団体受付なのだと思うが、
おばちゃんは受付のスタッフに事情を説明し、並ばずしてバウチャーチケットを引き換えてくれたのだった。

この日のツキ具合は何だかこれだけで神がかっているかと思ってしまう。

交換後もおばちゃんから説明を受けたが、舞い上がっていたので、まったくもって聞き取れず、いつが終わりなのかわからないまま、おばちゃんの後ろを戸惑いながら引き続きついていった。

おばちゃんはトイレに入っていき、初めて、途中で説明が終わっていたんだと気づいた。
こうして一気に英語力の弱さを自覚することとなり、神がかったラッキーデーは速攻で現実に戻ったのだった。

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