見出し画像

【更年期②通信】米CBインサイツで紹介された更年期スタートアップ8社

2021年の各国における女性役員比率だが、日本は12.6%。プライム市場に上場している企業では同比率が9.3%となっており、全体の3割にあたる539社では女性の役員が一人もいない状況となっている。

フランス45.3%、ドイツ36.0%、米国29.7%となっており、日本の低さが目立つが、役員になる年代と更年期の時期は重なっているため、女性の役員を増やすためには、更年期症状や更年期障害の課題を解決することは、ひとつの対策と言えるのではないだろうか。

更年期症状や更年期障害の課題を解決するビジネスが、海外では進んでおり、米CBインサイツで紹介されている更年期スタートアップを紹介する。

米CBインサイツのフェムテック調査

米国の調査会社CBインサイツから発表された、2022年フェムテックスタートアップの動向。
2017年に50社程度のフェムテックカオスマップを発表していたが、今年は以下のカテゴリーで約100社発表された。

①がん(5社)
②生殖医療(28社)
③総合医療(10社)
④婦人科(11社)
⑤生理(9社)
⑥メンタルヘルスとウエルビーイング(4社)
⑦更年期(8社)
⑧性の健康とウエルネス(12社)
⑨妊産婦と胎児の健康(14社)
⑩授乳(5社)

カテゴリーとして、掲載社数が多いのは生殖医療。いわゆる妊活・不妊治療領域である。
日本からは、生殖医療でvivola、総合医療でYOJO Technologies、更年期でTRULYが掲載されている。

CBインサイツはニューヨークの会社のため、英語で日本のフェムテックについてリサーチしていると推測。海外の調査結果に掲載されるためには、英語での情報発信が必要と改めて感じている。

更年期スタートアップ8社

①alloy(米)

40歳以上の女性を対象とした、女性ホルモンであるエストロゲンを補うパッチやクリームなどを開発・販売している。

更年期で閉経を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの恩恵が受けられず病気にかかりやすくなると言われている。

エストロゲンの分泌量を増やす働きがある成分として有名なのが「大豆イソフラボン」。日本では、大豆イソフラボンのパワーの源である「エクオール」を直接摂取できるサプリメント「エクエル」が人気となっている。

②ELDA HEALTH(印)

更年期の女性に対して、更年期診断テストや専門家との面談、ヨガなどをアプリを通じて提供している。

③ELEKTRA HEALTH(米)

2019年に創業され、女性の更年期障害や閉経後のホルモンバランスを整えることを目的とした「更年期障害対策プログラム」を提供している。

④KINDRA(米)

ホルモンを使わないローションやサプリメントを提供している。
更年期の女性たちにヒアリングしていると、更年期障害の解消に有効と言われているホルモン補充療法(HRT)に抵抗のある女性もいるため、ホルモンフリーの製品のニーズは高いのかもしれない。

⑤PAUSE(米)

更年期の女性に向けたスキンケア製品などを販売。
「アンチエイジング」ではなく、「ウェルエイジング」という言葉で、「年齢を重ねることは美しい」と伝えていきたいことが、ホームページからも伝わってくる。

⑥tabu(米)

2020年に創業され、更年期の女性に向けたセクシャルウェルネス製品を提供。日本ではまだまだタブー視されがちなセクシャルウェルネス領域だが、今後は更年期世代も含め、広がる可能性が高いと感じる。

⑦TRULY(日)

更年期女性向けのチャット相談やオンラインメディアを手がけている。
2022年5月には、スクラムスタジオが運営するグローバル・オープンイノベーション・プログラム「Well-BeingX」に採択され、日本を代表する更年期企業となっている。

⑧Vira Health(英)

中学校の性教育の授業で、更年期症状の教育が義務化されている英国。
2020年に設立されたこちらの企業では、一人ひとりに応じた更年期の症状の治療を提供するアプリ「Stella」を手がけている。

【まとめ】更年期を話しやすくなる環境づくりが必要かもしれない

最近、20代~50代の女性のみが出席している会議に参加した。インターネットでのリサーチの話題になり、Googleアラート(決まった単語を登録すると、そのワードに関連する記事がメール送信される仕組み)で気になる言葉を登録し、定期的にメールがくることを話した。

【会議中での会話】
・筆者:最近は『更年期』が気になるので、こうやってGoogleアラートで単語登録してるんですよ。
・周り:(シーン)苦笑

つまり、女性の中でも「更年期」の単語がタブー視されている現場に直面した。

以下の記事にもあるように、最近は生理が徐々に口に出しやすくなってきたが、更年期はまだまだタブーな話題となっている。
女性の健康課題について、話しやすくなる環境をどう日本で育んでいくか。その結果、さまざまな課題を解決する製品が生まれやすくなると感じている。

【イベントのお知らせ】Femtech Community Japan ミートアップ交流会

2022年6月23日(木)19:00~、オンラインとオフラインのハイブリットで、ミートアップ座談会を開催。
当日はファシリテーターを務めます。ぜひ会場&オンラインでお会いしましょう。シリコンバレーからもメンバーが来日するので、楽しみです。

申込は以下のリンクからお待ちしています。