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心理的資本とは何か?:構成要素と保有することの価値

 何が起こるのか予測が難しく、大変なことも多い世の中で働いていく上では、心理的資本(希望、自己効力感、レジリエンス、楽観性)が大切だと言われています(ルーサンスほか 2020)。心理的資本は、それぞれの頭文字をとってHERO(HOPE、EFFICACY、RESILIENCE、OPTIMISM)とも呼ばれています。

心理的資本の4つの要素

 心理的資本の、①自己効力感とは平たく言うと「自分は〇〇をすることが出来る」といった自信のことです。自己効力感の高い人は、高い目標を設定し、目標達成のために努力を惜しまないと言われています(ルーサンスほか 2020)。②希望は、目標を持ち続け必要な時には目標への道を調整して目標達成しようとすることを指します(顧 2015)。 希望が強い人は明確な目標を持ち、障害がある時には代替的な方法を選択します。③楽観性は、自分の現在および将来の成功についてポジティブな期待をする帰属スタイルのことです(顧 2015)。 非現実的な楽観主義に陥ると、失敗してもたまたまだと考え学ばないこともあるので、「現実的な」楽観主義が重要だと指摘されています(ルーサンスほか 2020)。最後に、④レジリエンスとは、逆境や問題状況に陥ったとき、挫けずに粘り強く困難を克服する能力です(顧 2015)。 この力は、競争の激化、目覚ましい速度の変化などにより特徴づけられる、今日の職場で特に必要とされています(ルーサンスほか 2020)。

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心理的資本を保有しているとどんな良いことがあるのか?

 心理系資本が高いと、①従業員は望ましい態度や行動をする、②高いパフォーマンスを発揮する、③望ましくない態度や行動をしにくいと言われています(Avey et al. 2011)。①や②は、納得みが深かったのですが、③は意外な結果でした。心理的資本を高く保持していると、「あきらめ」や「絶望」を感じにくく、自分の運命を切り開く傾向にあるため、皮肉的な態度や逸脱行動などをとらなくなるそうです。


参考文献
フレッド・ルーサンス、キャロライン・ユセフ=モーガン、ブルース・アボリオ(2020)こころの資本.中央経済社
Avey, James & Reichard, Rebecca & Luthans, Fred & Mhatre, Ketan. (2011). Meta-Analysis of the Impact of Positive Psychological Capital on Employee Attitudes, Behaviors, and Performance. Human Resource Development Quarterly. 22. 127 - 152. 

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