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新刊『チームレジリエンス:困難と不確実性に強いチームのつくり方』に込めた想い🐣

5月末に、私が主著として手がけた初のビジネスパーソン向け書籍「チームレジリエンス:困難と不確実性に強いチームのつくり方」を出版します。2021年の終わりから約2年半の時間をかけ、たくさんの研究をレビューし、ようやく完成しました✌️ 研究室の先輩であり、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOである安斎勇樹さんと共著の書籍です。

本日、Amazonで予約が開始されましたので、ご関心のある方はぜひ発売前に予約いただけると嬉しいです🐣

このnoteではそんな初めての一般書の出版(🎉)を記念して、本の内容と込めた思いをご紹介します。


どのような本か?

この本の内容を一言で表すならば、「チームで困難を乗り越える方法と困難に強いチームの在り方について解説した本」と言えます。

「困難の押し付け合い」では前に進まない

ロングセラー商品の突然の不振。業界破壊的なスタートアップの出現。
人手不足に業績不安。取引先の無茶な要求。理不尽なクレーム。SNS炎上。
ギスギスした人間関係。コミュニケーション不全。エースの離脱など
チーム前にはたくさんの困難が立ち現れます。

けれど、こうした困難を「チームで」乗り越えることができるケースは、意外と少ないかもしれません。

多くのチームでは、日々の忙しさや状況の不確実性から「困難により生じるストレス状況」を他人に押しつけあいます

パフォーマンスが低下した際に、上司は「若いものはやる気がない。そのせいで目標数値も届かない」と不満を漏らし、一方で部下は「部長の意見がぶれがちで、無駄な作業を増えて、仕事が進まない」と部長を批判する。このように、うまくいかないときに、他者を責め合うことは多いのではないでしょうか。

この結果、結局は、押し付けられた人が頑張ってどうにかするが、疲弊してしまう。ギスギスして関係性が悪くなってしまう、など。
困難に直面し、チームは行き詰まってしまいます。

チームで困難を乗り越えるにはどうすれば良いのか?

こうした事態を避け、チームで困難を乗り越えるためには、「困難」を押し付け合うのでなく、次の3つのステップを踏むことが重要です。
本書では、「チームレジリエンス」に関する研究をもとに、下記のステップを通じてチームで困難を乗り越える方法について詳細に解説します。

チームで困難を乗り越えるための3つのステップ
ステップ1:課題を定めて対処する
ステップ2:困難から学ぶ
ステップ3:被害を最小化する

ステップ1:課題を定めて対処する
危機や困難に直面すると、すぐに対処したいという焦りから考えなしに行動してしまうことも少なくありません。しかし、危機や困難が生じても、状況を改善するための方法や道筋がわからないままでは対処することができません。そのため、困難を乗り越えるチームは、今起きている「問題」を整理して、解決すべき課題を定義しています。
また、先に述べたように、チームでは「困難の押し付け合い」が生じがちですが、それは困難に対するメンバー間の解釈が違うために生じてしまうことでもあります。例えば、マネジャーと若手では仕事を進める上で大事だと思うことも、働く価値観も大きく違うことがほとんどです。ゆえに、陰でお互いの批判をしあうのでなく、自分たちの価値観や問題の見え方を共有
することは、チームで課題を定義する際の重要なポイントです。

ステップ2:困難から学ぶ
「困難」を解決できると、人々はストレスから解放され、安心してしまいます。しかしそのまま油断していると、忘れたころに同じ「困難」に再び遭遇してしまう可能性もあります。そのため、レジリエンスの高いチームは、困難を経験した後に良質な振り返りを行い、生きた教訓をつくっています。レジリエントなチームは、困難から学びを得ているのです。
「振り返りはもうやっているよ!」というチームも少なくないかもしれません。けれど、困難後の振り返りは意外にも難しく、今後のための教訓を得る場というよりは、困難を引き起こした犯人を探し出す場になってしまうことも少ないため、注意が必要です。


ステップ3:被害を最小化する
「レジリエンス」という言葉を聞くと、多くの方が困難に直面した「後」にそこから立ち直るプロセスを思い浮かべるかもしれません。
しかし、そもそも困難には遭遇しないに越したことはありません。特にダメージの大きい困難であれば、課題を設定し、解決に挑んだとしても回復に至れないことも多くあります。そのため、レジリエンスの高いチームは、困難が顕在化する前に、早期に「困難の種を発見」し、「事前に対策」を練ることで被害を最小化しています。

誰に読んで欲しいか?

「チームマネジメント」に悩む新米リーダーの役に立ちたい

この本は、チームマネジメントに悩む方々に読んでいただきたいと考えています。特に、新米リーダーさんにぜひ読んでいただきたいです。
初めてリーダーになった方が「大変だ」「しんどい」「どうしたらいいの?」と悩むとき、少しでも助けになればと思い、執筆に挑んできました。

というのも、この本を書くきっかけの一つは、企業でチームのリーダーとして働く同期の力になりたいと思ったからなのです。

企業に就職した友人たちは、年次をあげ、チームのリーダーとして重要な役割を果たすようになりました。チームの人間関係のもつれや、予期せぬ困難を経験し、チームとして立ち直る方法を模索する同期たち。

チームの困難に悩み苦しむ同期に、役立てる研究知見がないかと思っている時に出会ったのが「チームレジリエンス」でした。筆者は今まで、個人が困難から回復する力である「レジリエンス」の研究を行ってきましたが、近年、レジリエンスはチームが持ち発揮するものとしても位置付けられていたのです。

そこで、チームで困難を乗り越える方法について紹介すれば、もしかしたら同期たちの力になれるかもと思いたくさんの研究を下敷きにしながら、CEOとしてのマネジメントの実践的ナレッジも有する安斎さんと、チームレジリエンスに関する知を編み直してきました

出版裏話

憧れの研究者と、10年前の自分を喜ばせる本を

最後に、個人的な執筆の裏話を。

冒頭にも述べたように、この本は研究室の先輩であり、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOである安斎勇樹さんと共著で書いた書籍です。

安斎さんは、10年前、私が大学院1年生だった時のメンターであり、研究者を目指すきっかけを与えてくれた人物でもあります。

応用研究をしていると、研究と実務の間のギャップに直面することも少なくありません。しばしば「研究で得られた知見が実務に役立たない」と批判される一方で、実務に役立つ知見が学術的に評価されないこともあります。
安斎さんは、このギャップを埋めることに長けており、研究としても大切で、実務家の方々の痒い所に手が届く、面白くワクワクするナレッジを生み出し、まとめるのが上手な方です。この姿に憧れ、私は研究者の道を目指すようになりました。

しかし、このように、研究と実務の間に存在するギャップのため、論文以外の形式で書くことは私にとって大きな挑戦でした。「チームレジリエンス」の執筆も、単独では絶対に不可能だったと思います。

そんな中で、いつか研究者向けの本だけでなく、一般の向けの本を書きたいという気持ちを支援してくださった安斎さんには深く感謝しています。
まだまだ100億光年くらい遠いですが、憧れにほんの少し近づくことができて、とても嬉しいです。

また、この本の執筆にあたっては、編集者の小池真幸さんと日本能率協会マネジメントセンターの山地淳さんにも多大なサポートをいただきました。
小池さんには、文章作成で苦労していた際、細かく丁寧に指摘と修正を施していただきました。山地さんには、本の構成を練る過程で、読者に理解しやすいようにという視点から多くの貴重なアドバイスをいただきました。
具体例が書けないと悩んでいたときに、チームで困難を乗り越えた経験についてのヒアリングにご協力いただきました方々にも、深く感謝申し上げます。

最後に皆さんへのお願い

つらつらと個人的なことをお話しさせていただきましたが、「チームレジリエンス」を発揮するための具体的な方法について下記の書籍にまとめましたので、ご興味のある方は、ぜひ、発売前にご予約いただけると嬉しいです🐣
チーム運営に悩んでいる方に届くと良いなと思っているので、noteの拡散など、ご関心のある身近な方に共有いただけるのもとっても嬉しいです✌️

しばらくの間は「チームレジリエンス」に関する講演・研修の登壇、取材依頼など大歓迎ですので、ご関心のある方は遠慮なく以下のフォームからお問合わせください。


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