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上位下達の教育システム

11月になり年末が近づいてきました。
そろそろ、どの学校も来年度の行事予定を決めていく時期だと思います。

来年度の行事を決める際は、職員会議などで話し合いの場がもたれることが多いと思います。
例えば、コロナ禍で縮小された行事を今後どうしていくか。
縮小されたままでいくか、元に戻すか。それともいっそ無くしていくか。

頻度は?規模は?時間は?招待する人は保護者?地域住民?それとも子供だけの行事にするか?などなど。
同じ行事でも、形態や内容によって教員の仕事量や準備内容も大分変わってくるので、現場の教員にとっては大きな関心事です。

でも基本的に、現場の教員には決定権がありません。
担任などの意見を聞く場は設けられることが多いと思いますが(それすら無い学校もあるのかも)、最終決定権をもっているのは校長です。
なぜかというと、その根拠はなんと法律によって定められているんです。

学校教育法第37条には、こう書かれています。
校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。

さらに地方公務員法の第32条には、「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」として、こう書かれています。
職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

つまり、校長は教員の監督をする立場であり、教員にとっては上司なんです。
担任などの教員は、校長の監督のもとに仕事をしており、校長の職務命令には従わなければならないのです。
それは日本全国、北は北海道から南は沖縄まで、どの公立学校へ行ってもそうなんです。

これって、すごいことではないですか?
日本の隅々まで、上位下達の強固な教育システムが行き渡っているなんて!

例えば、ある行事について、担任教員の負担が大きすぎるという問題があったとします。
何か一つ行事をやるとなると、子供たちを指導するのは結局担任の仕事になるので、担任の負担が増えるのです。
複数学級の学校であれば、同学年の教員同士での打ち合わせや調整の手間が増えるし、単学級であれば計画・準備・子どもへの指導などが、基本的に全て1人の担任の仕事になります。

仕事が増えた分給料が増えるかというと、そんなことはもちろんありません。
そして仕事が増えた分、何が削られるかというと、授業準備の時間だったり、クラスの子供と楽しく雑談する時間だったり、教員がほっと一息つく時間だったりします。
つまり、各担任の個人的な時間が削られるのです。

だから担任教員たちは、負担の大きさを理由に、「ある行事を来年度は無くしたい。」と言ったとします。
でも校長の鶴の一声で、「いや、やります。」と言われれば、それは絶対的な権力をもつのです。

いくら担任の負担になろうと、いくら実際に仕事するのが校長ではなく担任であろうと、計画・準備・子どもへの指導などの仕事が担任教員の個人的な時間を奪うとしても、校長の鶴の一声は絶対なのです。

だから、会議でいくら教員が声を上げても、通らないことがままあります。
本来であれば、実際に働く担任教員たちで話し合って、行事の内容や形態を決めていくべきではないかと思います。
でも実際はそうではない。

あぁ、結局言っても無駄なんだ。
何も変わらない。
来年もまた同じ繰り返しか...。
こんな気持ち、多分教員なら誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。
でも徒労感ばかり感じているのも嫌なので、私は言いたいです。

上位下達の教育システム、そろそろやめませんか??
現場の教員たちに、もっと裁量権を与えてほしいです!

そのためには、法律から変えていく必要があります。
それは時間がかかるとは思いますが、決して無理なことではないと私は思います。
みんなが声をあげれば。みんなでおかしいものはおかしい!と言えば。


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