猫を飼うことをオススメしない理由
うちには猫がいる。13歳の三毛猫、名前をすももと言う。
猫というのは、かわいい。とにかく愛おしい。
誰やねん、猫はクールでツンとしてるとか言ったの。超甘えてくるやん。
誰やねん、最初に猫の飼い主を下僕とか言い始めたのは。まったくもってその通り、今や立派な下僕やわ。
どこに出しても恥ずかしくない猫の下僕として、猫を飼うことをオススメしない理由を記す。
ちなみに、これを書いているのは毎日の風呂上がり、私にあぐらをかかせその足の間に挟まり、足の裏に顔を埋めグリグリするという、謎の儀式に小一時間付き合わないと夜寝かせてくれないすももが満足してくれるまでの待ち時間だと言うことを報告しておく。
寝不足…いやなんでもないです。
その1 去勢避妊手術やワクチンが必要
適齢期が来たら手術をし、年に一回のワクチンが必要。
だがしかし病院が大嫌いな猫もいる。うちの子ですか?
ええ、大嫌いです。
普段温厚で我が家の接客部長、お客さんにも寄っていくし触らせる子なのに、病院では豹変。
聞いたことないような声でオラつき、めちゃくちゃ暴れる為洗濯ネットに入れて、先生方を噛まないようカラーをつけて、年一回の大仕事だ。
騒ぎ暴れる猛獣をばっちり保定しながら先生曰く
「これはまた…気性が荒い子ですねぇ」(ニコニコ)
プロすごいや。
先生いつもすみません。
待合で一緒になる動物達よ、飼い主さん達よ、診察室から恐怖しか感じない声を振りまいて本当に、それはもう、ごめん。
すもも「病院だけは許せない」
それでもまた、お世話になります。
その2 掃除が大変
猫との暮らしは毛との戦い。毎日掃除機をかけ、ワイパーをかけ、あちこちをコロコロしてまわる。そう、猫のいる家のコロコロの消費量はハンパじゃない。
旦那曰く、でかける前に全身くまなくコロコロして毛をとったはずなのに会社のデスクの引き出しを開けると猫の毛が出てきて
「おまえ…!こんなとこまで…!」
と、なるらしい。
猫は下僕がでかけた後もなお、下僕に猫のことを忘れさせてはくれない。
その3 家の中でドリフトかます
彼ら猫にとって家の中は原っぱと同じ。
リビングは大草原。棚の上は樹々の上。
縦横無尽に駆け回りカーブでは派手にドリフトをかます。
だってここは大草原だもん。
文句は特にありません。(傷ついた床を優しく撫でみつめながら)
その4 尻から甘えてくる
わりとくっついてくるのだけど、とにかく尻から。尻を向けるのは
「背後は任せたぜ!」
的な信頼の証らしいのだけど、家から出たことない猫に家の中で背後を取られて困るようなことそうそうないので安心して背中はガラ空きにして真正面から俺の胸に飛び込んでこいよと思うけど、今日も尻から、そして腕をキメられ、枕は2/3を猫に取られる。
1/3使わせていただきありがとうございます。
その5 突然のウンコハイ
便意は突然に。生きているって素晴らしい。
それはまぁ人間とて同じなのでいいとして。
猫というのはその前後に奇声を上げて家の中を猛ダッシュする。
トイレ中は隙だらけなので敵に悟られないようにする為だとか諸説あるらしいが、家から出たことない猫に隙を見せてはいけない敵など存在しないので安心して静かにもよおして静かにトイレに向かってほしいどうかお願いしますと心から思うのだけど、今日も激しいウンコハイ。
残像。
その6 スマホの容量を圧迫してくる
とにかく写真が多い。私のスマホは娘と猫の写真が9割。
かわいく撮りたくて一度に何枚も撮るので同じような写真が並ぶ。しかも消せない。だって全部かわいい。
こうなる。
そのためGoogleフォトには足を向けて寝られないくらいお世話になってる。ありがとう。
その7 どんなに愛しく思ってもお別れの時はやって来る
猫の時間は人間よりも早く流れる。
1歳で人間でいうところの18歳になり2歳で24歳、その後は1年ごとに人間の4年分、年をとる。
我が家の猫すももは13歳半、人間でいうともう70歳のおばあちゃんだ。
私は今34歳。普通に生きれば私よりも先にいってしまうのだろう。
別れの時は来る。いつか必ず。
そして、その時が突然、うんと早くに訪れることもある。
さいごに すももとすきまと娘の話
すももには血の繋がらない弟がいた。名前をすきまという。
知人の家の壁の中から出られなくなっていたところを知人が壁に穴を開け助け出された。名付け親はこの知人。
ちなみに壁に派手に穴を開けたこの家、借家である。
ふたりはいつも一緒だった。
娘にも、ずっとくっついていた。
娘には重い障害があり寝たきりだ。すきまはそれを知ってか知らずか、娘のやることに絶対文句をつけず、一切、一度も、手も出さなかった。
うちに来たばかりの時から、娘の側に、すももの側に、ずーっと、私達の側にいた。
ずっと側にいたのに。
すももの一年あとにやってきたすきまはあっというまに7歳で、短い命を生き切った。
健康にもなんの不安もなく、最後の時もご機嫌に私とおもちゃで遊んでいて急にバタン、と倒れたと思ったらそのままいってしまった。すぐ抱き上げ心臓マッサージと人工呼吸をしながら家の目の前の病院へ駆け込み、獣医さんも手を尽くしてくれたけど、戻ってこなかった。
猫を飼うこと。猫が家族になること。
その命が終わる時の悲しみは、胸にあいた穴は、あまりにも大きくて、今でも思い出すと会いたくて仕方がない。
それでも、あの時拾わなきゃよかった、とは思わないし、一緒にいられて本当に幸せだった。楽しかった。
いつかすももを見送る時も、来るのだろう。
お別れの時が来るその日まで、ちゃんと病院に連れて行き、抜けた毛を掃除しコロコロをかけ、床の傷すら思い出になり、尻すら愛おしく感じ、突然のウンコハイにも動じず見守り、スマホの容量はなんとかやりくりし、眠たい目をこすりながら甘えん坊なすももの謎のルーチンに付き合い、あぐらの中にすももをおさめようと思う。
そしてまた尻と一緒に眠る。
私は、猫を飼うことをおススメしない。
それでも飼うというのなら、一生添い遂げて、猫も、あなたも、必ず幸せになってほしい。
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