【実録】義父と認知症・その時私たち #3 どこに相談すればいいの?

鮎釣りの帰り道、家に帰れなくなってしまった義父(この時は84才)の様子に不穏なものを感じた夫と私は、それぞれに「どうしたらいいんだろう、、、」と頭を巡らせていました。お互い口には出さないけど感じてしまっている………という数日を過ごしていました。

「どうしたらいいんだろう、、、」
「何ができるんだろう?」
夫の父親という関係ではあるんだけど、結婚当時に2年ほど同居したことがあります。仕事を変えたばかりでお金がない夫について来て、初めて住む土地に住み始めた私はこの義父に救われました。

知らない土地、初めての妊娠と重度のつわり、体調が悪くて伏せっている毎日でしたが、義父が買い物に付き合ってくれたり、まだ家事に慣れない私の料理を喜んで食べてくれました。ささやかな事ではあるけれど、誰とも話が出来ずに日中をベッドの上で過ごすしかなかった当時の私には、義父の穏やかな笑顔が救いになっていました。

結婚して20年の余、私にとっても義父は大切な家族になっていて、
日々を幸せに生きてほしい人になっていました。
だから、何か出来ることがあるならしてあげたい、
でも、どうしていいか分からない、、、

認知症やアルツハイマーという言葉は病名として知っていました。
段々と物事が分からなくなってしまうんだろうなぁ、ということも
なんとなく分かっているつもりでいました。
でも、気づいたり不安に思った時にどうしたらいいのか、は今まで全く考えたことがありませんでした。
どこに相談すればいいのか?
病院にいくとしたら何科なのか?
全くわかっていませんでした。

聞けるとしたら、こんなことを聞きたかったと思います。
もう認知症を疑った方がいいの?
それとも年齢的によくあることなの?
そのままに暮らしていて大丈夫なの?
車はもう運転しない方がいいの?
治療法や他にやれることはあるの?
このあと、どうなっていくの?

このように考えていた頃、ちょうど月に1回ある地元の医療・介護連携の自主的な集まりがありました。私は医療従事者でも、介護従事者でもないのですが、介護予防に関わる分野のお仕事をしているので誘っていただけて、こちらで学んでいました。

あ、ここで聞いてみよう!
その日のテーマが終わって、雑談になった頃合いで義父に起きたことを話してみました。

「一度検査した方がいいんじゃないかなぁ、、、」とみなさんから。

やっぱりそうだよなぁ…………
私も検査をした方がいいのは分かっていたんですよね、
でも、否定したい自分の気持ちがあったんですよね。
きっと夫も同じだろうなぁ…………
実の父、仲が良い父のことなのです。
私以上に、まだ大丈夫だと思いたいはずです。

「脳で起きてることは見えないからね」
「薬を飲むにしても時期があるんだよ」
「憶測よりちゃんと分かった方がいいでしょ」

そう、そうです、そうです。
自分も誰かの話を聞く立場だったら、きっとそういうと思いました。

だから、私が言わなくっちゃ
この時にそう思いました。

病院は何科に行けばいいんだろう?
義父は他の市に住んでいるので病院が分かりませんでした。

「そんな時は市役所で聞いてもいいんだよ」と教えてくれました。
地域包括支援課、地域包括支援室、地域包括支援センターなど、
名前は少し違っても大丈夫、問い合わせしてみるといいということでした。

地域包括支援センターは、各市町村が主体となって、
住民の保険医療、福祉の向上増進を包括的に支援するところ
相談ができる場所、橋渡しをお願いできる場所、と捉えておくといいと思います。

プロに相談するって大切なことだな、と実感した夜でした。
プロだからこそ、こちらの今の状況に合わせて的確なメッセージをくれました。
誰かの経験や体験からの情報を教えてもらうこともとても有り難く、
手助けになる場合もありますが、
たくさんの知識や情報の中から、今必要なことを選別して→その理由も明確に、大袈裟でも急かすでもなくソッと差し出してくれる、プロの皆さんの答えがとてもありがたかったです。

この日は帰ったら夫は寝ていたので、また他の日に話しました。
仕事も家事も終えて、2人いる時間に、
コーヒーを淹れて、お互いに気持ちを落ち着けてから
みなさんから頂いたメッセージを伝えてみました。

「まあ、そうだよなぁ。(夫)」
「俺もそう思うよ。(夫)」

夫もそう考えていたんだな、だけど口には出せずにいたんだなぁ、と思いました。
行動するということは現状を受け入れないと次にいけないと思う。
仲がいい父親の”老い”に直面して、きっと淋しさを感じただろうな、受け入れたくない思いもあったんじゃないかと思う。

素人の私と夫の持っている材料だけで話すんじゃなく、専門の方々の意見だから素直に聞ける、そんなことを感じました。


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