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初めての、母の日

5月12日。今日は、母の日。

小さい頃は、母の日の意味がわからなかった。
何の感謝を伝えれば良いのかわからなかったし、かと言って、形だけ感謝してるふりもしたくなかった。
我ながら、ひねくれた子供だったと思う。

わたしは家族も実家も、好きではなかった。
両親の仲は悪い。お金のやりとりだけ、メモ書き、ダイニングテーブル上で。日常の中で直接言葉を交わす事は、ほとんどない。

両親が、そして家庭がそんな空気になったのは、私が10歳の頃に起きたある"出来事"(一般的に男女間であるトラブル。詳しくはご想像にお任せする、、。そしてその件について父親は未だ謝らない、謝ろうとしない)がきっかけ。
私自身、その出来事について後から詳しく知り、そのような人が同じ家で暮らしているということが許せなかった。

1年前、当時付き合っていたパートナーと同棲することになり、家を出た。
カオスだった実家を出て、自分たちのセンスに合うものに囲まれて、好きな人と暮らす事はとても幸せだった。
肩の荷が降りた気がして嬉しかった。

年が明けたくらいから、仕事もプライベートも少しずつうまくいかなくなっていった。そして自分の気持ちのコントロールは、もっとうまくいかなかった。
心が死んで、気づいたら全部失っていた。

今は1人でいないほうがいいとパートナーに勧められ、初めて実家に戻った。
心身ボロボロになって帰った実家は、あんなに嫌いだったはずなのに、なぜか安心した。自分にとって大切な"逃げ場"となった。

大学生の頃、父親と母親と3人で今後の家族について話し合ったことがある。あれはきっと最初で最後の話し合いだと思う。
「娘2人が安心して戻ってこれる場所をつくりたかった。」
話し合いの最後、母親が涙ながらにそう言っていたのを、ふと思い出した。

17年間、とても辛かったと思う。今でも苦しくなるときはあると思う。
それでも私たち娘の前で決して弱音を吐くことなく、前を向いて、自分で働いて生きている。そんな強い母親を、私は誇らしく思う。

私たち娘を守ってくれて、ありがとう。
帰る場所でいてくれて、ありがとう。
どうか、幸せであって欲しい。

今日はたぶん、私にとってはじめての母の日。

創作活動費として大切に使わせていただきます。