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コーヒー豆を60粒数える男

「Beethoven was a coffee lover.
He counted 60 coffee beans.」

これが、私のベートーヴェンのイメージ。
中学か高校の時、英語の問題集で出てきた文章。

ベートーヴェンはコーヒー好き。
珈琲を淹れる時、毎回きっちりコーヒー豆60粒を数える人
、と。

当時、めちゃくちゃ衝撃だった。
「え、コーヒー豆数える人おるんや…!ベートーヴェンって、相当神経質な人なんやな」って。

当時、ベートーヴェンがコーヒー豆を60粒数えることが衝撃すぎて、20年以上経った今でもまだ覚えている。あれ、何の問題集だったかな。単語を覚える問題集だったんだけど。Z会だったかな…
分かる方いたら教えてください。

*****

さて、今練習している曲の一つが、まさにベートーヴェン。

縁あって、とあるカフェで弾くことになりました。
なんと、スタンウェイのピアノで弾けるとのこと!
嬉しすぎる!

世界のピアニストが愛してやまない、名実共に世界最高峰と言われている、あのスタンウェイですよ!
インフレもあって、中古でもどんどん値上がりして、一般市民には手が出ないお値段の、あのスタンウェイですよ!
最安値モデルでも、1300万円ぐらいする、あのスタンウェイですよ!

そのスタンウェイを弾けることになって、もう嬉しくて嬉しくて。
その話があってから演奏日まで3ヶ月もなかったので、一度弾いたことのある曲を選曲することに。

いくつかベートーヴェンの曲を試しに弾いてみて、一番弾けそうな曲を選んだ。
中学の時に弾いたことのある曲、
ベートーヴェン『月光』第三楽章。


一度弾いたことがあるので、譜読みは問題なく出来た。
というかリスト(愛の夢やラ・カンパネラ)の後にベートーヴェンだと、譜読みが…譜読みが…めちゃくちゃしやすい…!3週間で6時間ほど練習して、まぁまぁ弾けたかなと思いながら先生の前で一通り弾いた後、先生から言われたこと。

「よく弾けているけれど…大人しいですね。この曲はもっと激しい曲です。」と。

そして先生が弾いたら、全く別の曲になった。わぉ。

さらに、ベートーヴェンについて教えてもらった。
ベートーヴェンは、それまでの音楽家と大きく違う点が1つある。

それは、




「おれは今までの音楽家と違うんや!宮廷や貴族に仕えて、そのために音楽を作る音楽家やない!音楽家は芸術家なんや!表現するんや!」という点である。


wikiにもこう書かれてある。

「ベートーヴェンの音楽界への寄与は甚だ大きく、彼以降の音楽家は大なり小なり彼の影響を受けている。ベートーヴェン以前の音楽家は、宮廷や有力貴族に仕え、作品は公式・私的行事における機会音楽として作曲されたものがほとんどであった。ベートーヴェンはそうしたパトロンとの主従関係(およびそのための音楽)を拒否し、大衆に向けた作品を発表する音楽家の嚆矢となった。音楽家=芸術家であると公言した彼の態度表明、また一作一作が芸術作品として意味を持つ創作であったことは、音楽の歴史において重要な分岐点であり革命的とも言える出来事であった。」

ベートーヴェンが生きたのは、1770-1827年。

それより前だと、バッハ(1685-1750)とか、
モーツァルト(1756-1791)とか。

それより後だとショパン(1810-1849)とか、
リスト(1811-1886)とか。

確かに、モーツァルトとかバッハとか、宮廷や貴族のための音楽って感じ。
それに比べて、ベートーヴェン以降のショパンやリストは「芸術」というイメージがだいぶ色濃くでてきているな、と。
全然違う!

さらに。
ベートーヴェンの生きた時代背景は、そう、まさに激動の時代。
1776年(6歳)、アメリカ独立宣言、
1791年(21歳)、フランス革命、
1783年(13歳)、パリ条約にて、アメリカ独立承認。

激動、どころか大激動ですよ!
そんな中、
1801年(30歳)、
作ったのが『月光』。ピアノソナタ第14番。

そうなんや。
ベートーヴェンって、そういう時代に生きた人やったんや。
こういう時代背景を知りながら弾くと、また一段とピアノが楽しくなる。

とりあえず第三楽章は、激情がほとばしる曲との事で、もっと激しく弾こうと思います。指の筋トレしないと激しく弾けないので、いつも以上にメトロノームのお世話になりそう。

何せ、珈琲を淹れる時にコーヒー豆をきっちり60粒数える男が作った曲ですからね。

と、毎回ベートーヴェンを弾く度に、コーヒー豆60粒数えているベートーヴェンを思い浮かべてしまう、むーでした。

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