実録!モラハラサバイバー


1.わたしの話をしよう

生まれた体の性別は、女。
性自認は、女性。
恋愛対象は異性である男性で、いわゆるヘテロセクシシャル。
ここまでは、バリバリのマジョリティなんだけど。
私の場合、恋愛感情に性的衝動を伴わない。簡単に言うと、好きな人とイチャイチャしたいという気が起こらない。これを『ノンセクシャル』というらしい。『ホモセクシュアル』、『バイセクシャル』などがお馴染みのセクシャルマイノリティの中でも圧倒的にマイノリティだ。

 私自身が、この『ノンセクシャル』という言葉を知ったのも、すっかり大人になってから。しかも、結婚して、こどもを3人産んだ後。
我が家のこども達が、全員生まれ揃ったのにもかかわらず、まだセックスしたがる夫に「おいおい、いつまでさかってんだよ」と、呆れ、どこかおかしいんじゃないかと本気で心配し、あれこれ調べてみたら、どうやら私の方がおかしいらしいと気付いたという顛末。
 今、私は「おかしい」って言葉を使ったけど、これは性的志向であって、本来「おかしい」とか「おかしくない」で切り分けるべきものじゃない。なにかが正常で、それ以外は異常って訳ではないのだ。
ただ、この時点で、私は「結婚」という、ある種の契約において、性的充足を相手に提供できていない自分の方に非があるんだ。という風に認識をしたということだ。
 頑なに拒んだという訳ではないが、乗り気でない育児真っ只中の妻を、「その気」にさせることが困難で、夫は夫で悩んでいた。
その想いをぶつけられて、色々調べるうち、自分がマイノリティであることを知ったのだ。
同時に、いわゆる「セックスレス」という状態は、求める側にとって、「愛されていない」と感じる、とっても辛いことであることも初めて知った。頭をガツンとぶん殴られるほどの衝撃であった。

 我が家の夫はモラハラ夫である。
ただ、私が夫に辛い思いをさせている以上、自分もその辛さに耐えるべきだ。と、等価交換の様に自分を納得させる「言い訳」にしていた。
 なんで、モラハラからの生還を語る上で、こんな「わたし自身のこと」から話始めたかって言うと、つまり、これだけ「非」がある私でも、それを理由に人としての尊厳を損なわれてはいけないんだ!と、声を大にして言いたかったから。
 私に非がある事は承知してるし、できない事も、失敗しちゃうこともある。でも、それらは、私の価値をちっとも下げないし、私は幸せに生きてていい。
そんな当たり前の事に気付くまで、私が辿った軌跡や、右往左往、一進一退の記録は、きっと誰かの勇気になる。そう信じて、この『実録!モラハラサバイバー』を記すものである。



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