実録!モラハラサバイバー10

虚言癖

 夫は嘘への敷居が大変低い。
夫の親戚たちは、結婚式のご祝儀を数十万包んでくれたから、新婚旅行のお土産を奮発せねばならない。
これが一発目であった。
嘘だった。
そんなのバレるに決まってるのに。素敵なお土産が買いたいなら、そう言えばいいだけなのに。そこで嘘をつく意味が私には解らなかった。

同じく新婚旅行中。
同じツアーの参加者は同年代の新婚さんが多かった。
ある晩、どこかとどこかの夫婦が町中でばったり会って、一緒に呑んだらしい。それが羨ましかったのだろう。
「今晩は皆で呑む約束をしてる」
そう言い続けた1日があった。私たちは、ずっと一緒に居たから、そんな場面に出くわしていないのは知っている。
第一、向こうも新婚旅行中だ。なにが悲しくて他所のカップルとわざわざ?
案の定、その日、誰かと酒の席を共にすることはなかったが、私の中に大きな「?」は残った。嘘をつくメリットが何も見えなかったから。

この人は、何故嘘をつくんだろう。とは思ったが、メリットがない=誰も傷つかない訳で、責め立てするほどのことでもない様な気もした。
でも、嘘をつかれる自体が、とっても嫌であるとは後日伝えた。
夫は「そう。わかった」と言い、多分すごく気を付けてくれて、その手の嘘は減少した。

 減少しただけで、なくなった訳ではない。リストラ異動で地方転勤になった時、別にこの会社にはこだわらないから、好きな事に挑戦してみても良いんじゃない?と言った私に、転職活動をしていると嘘をついてただただリミットまで引き延ばし、結局家族で引っ越しになった時は、地方に行く事ではなく、そうゆう夫の人生に乗っからなくてはならないことに絶望した。

 そしてそれは、三兄弟が中高生になった春にやってきた。
なにかの話の流れで、「三兄弟に関するクレームを俺は聞いている」と言い出した。「人の家のものを壊して平気だ」と。
それは、まずい。非常にまずい。だから、元の話は置いといて、それについてはちゃんと把握しなきゃだから、誰から聞いて、三兄弟の誰が、どこんちの何を壊したのか、そこはちゃんと聞かせて欲しいと迫った。だって、ちゃんと謝罪しなきゃなんないから。
そしたら一気にタジタジとなって、「いや。そんな話もあるってだけ」とか言うから、「だから、それはほっとけない。ちゃんと聞かせて」「そんな信ぴょう性のある話でもない」「噂だろうとなんだろうと、ちゃんと聞かせて」という押し問答の挙句、嘘と認めた。
我が子を貶める嘘。
それは、なんだ?
誰に、どんな得がある?
「おまえの育て方が悪い」ということを言いたかったのだろうか?
それにしても、である。
真実かどうか、バレるかどうか、そんなことはどうでも良いのだろうか?
既にもう、確かめる気力も失せてしまった。


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