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おいしいねー!が聞けるまで

もうすぐ2歳になる息子は、食べることに無頓着だ。

活発な子なのでおなかはすくだろうに、いつだって食べることより遊ぶことに夢中。ごはんはいつも二の次で、気分が乗らなきゃ食べない。集中が途切れても食べない(もってせいぜい10分)。一口食べても気に入らなければすぐに吐き出し、二度と口を開けてもらえない。しまいにはお皿やコップをひっくり返す。食べ物をつかんで投げる。ついでにフォークも投げつける。

そんな息子に何とかごはんを食べてもらおうと、母はいつも四苦八苦。少しでも楽しんでもらいたくてオムライスにお絵かきしてみたり、キャラクター付きのお皿で気を引いたり、食材を星形にくり抜いてみたり、2日連続同じメニュー出すのを禁止にしたり(もちろん、冷凍食材とか出来合いのものも使いつつ!)と変化を追い求める日々。かたまりの肉や魚も受け付けないので、食材はすべて細かくきざみ、時にはコロッケや餃子として包んだり隠したり、最後の手段は必殺・ポタージュに…。と試行錯誤するうちに、気づけば和洋中すべてお手の物。プリンだっておいしくつくれるようになった。

そんな涙ぐましい(?)努力の甲斐あって、最近ではじょじょに勝率が上がってきた。まず、少しずつだが好物が定まり始めた。例えば納豆。大人でも好き嫌いの対象になりやすい食材だろうに、息子はこれが大好き。納豆の日はお茶碗1杯分のごはんをぺろりとたいらげる。それからはんぺん。柔らかい食感が好きなのか、おでんにしたりチーズを挟んで焼いたりするとこれまたぺろり。あとは茶碗蒸し。相変わらずかたまりは受け付けないが、細かく刻んだ具は少しずつ食べてくれるように。そして、極め付きはスパゲティ。トマトたっぷりで甘めのミートソースをつくると、「ちゅるちゅるめんめん!」とハイテンションでするりするりとフォークが進み、とっておきの笑顔で「おいしいねー!」と言ってくれる。

食べられるものが増えてくると、座っていられる時間ものびてくる。最近では、ごはんの時間が近づくとキッチンカウンターに寄ってきて、食器を出したり、お箸を並べたりと準備を手伝ってくれるようになってきた。相変わらず気分が乗らない日にはお皿をひっくり返し、フォークを投げつけてくるけれど、前よりは楽しんでごはんの時間を迎えてくれているように思う。

私のほかにもきっと、子どもがごはんを食べてくれない、食べる量が増えない、好き嫌いがある、などなど、子どもの食事で悩んで、毎日ごはんをつくることを苦痛に感じている人もいると思う。毎日必死で頭を悩ませ頑張っている人たちに私から偉そうに言えることはあまりないけれど、2つだけ私の心構えを話すとしたらまずは「期待しない」こと。

大人だって、「まだおなかすいてない」とか「今日はカレーの気分なのに魚かよ!」と思う日とか「今はごはんより本読みたいんだよ」って時、あるよね。息子もきっとそうなのだろうし、本当におなかすいてるときは嫌でも食べるだろうし、だから私はいつも「食べたくなければそれでもいっか」「一口食べればまぁいっか」くらいの気持ちでやるようにしている。最初からそう思っていると、息子が全然食べてくれなくても「せっかくつくったのになんで食べないの?!」とならずに済むし、そればかりかたくさん食べてくれるとそれだけで褒めてあげたくなる。

それともう1つは、モチベーションを見つけること。私の場合は1回でも多くの「おいしいねー!」を聞くこと。息子のあの笑顔を引き出せるなら毎日の準備も苦にはならないし、ダメだった日も「明日こそは!」と思って奮起する。次の日もダメだったら、さすがに観念して納豆ごはんを出すけれど(それはそれで息子は大喜びだから結果オーライ)…。

子どものごはんは毎日続くことだから、くれぐれも無理と背伸びは禁物で。少しでも自分を楽にできる方法を見つけながら続けられると良いのかなと思う。と言いつつ私は今日も、息子の「おいしいねー!」を引き出すべく、気合を入れてハンバーグをコネコネします。

#おいしいはたのしい  

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