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「まゆみのゆみ」企画書

◎キャッチコピー

小柄で体の弱い少女が弓道と出会い、癖の強い仲間たちと弓道を究め、やがて世界大会で優勝するまでの物語


◎あらすじ

 20××年、世界弓道大会がイギリスで開催される。その決勝の舞台に立っているのは三倉真弓(みくらまゆみ)

 彼女は幼い頃、心臓病で手術を受け、激しい運動ができず体も弱かった。しかし、入学した天波(あまは)高校で、女子主将を務める五色沙織(ごしきさおり)の射を見て、弓道の虜になる。一緒に見学していた三上璃子(みかみりこ)、三崎香菜(みさきかな)を誘い、真弓は弓道部へ入部。癖の強すぎる部員たちと弓道を究める青春へ飛び込んでいく。

 体力がなく、心も強いとは言えない真弓に降りかかる数々の試練。弓道部を辞めようとするが、真弓は他人にはないある能力を持っていた。弓道を通じて彼女は、身も心も強くなっていく。


第1話のストーリー

 20××年、世界弓道イギリス大会。
 1人の日本人選手、三倉真弓(みくらまゆみ)が、「有段者の部」で決勝戦の舞台に立っていた。

 広い競技場を埋め尽くした多くの人々が見守る中、弓を射る場所=射場(しゃじょう)には、メガネをかけ黒髪を後ろで一つまとめにした小柄な彼女の他に、立つ者はいない。

 予選ではずらりと的が並んでいた安土(あづち)には、今はただ1つの的しかない。的のすぐ脇には、前の選手が放った矢が突き刺さっている。

 ここで矢を的に命中させれば、彼女の優勝だ。

 打ち起こした弓をきりきりと引き絞った彼女の姿に、神秘的な十字の形が重なり、会場の誰もが魅了される。「会(かい)」という状態だ。一瞬なのに永遠にも感じられる合間、ゆるやかに息を吐きながら彼女は、美しい弦音(つるね)と共に矢を放った。
 
 風を矢羽根にはらませ、ゆるやかな放物線を描いた矢は、「パァン!!」と小気味よい音を響かせて、白地に黒円の描かれた的の中心へ吸い込まれた。

 左右対称の美しい「残身(ざんしん)」をとった彼女の姿。
 そして静寂の後、会場を揺るがす歓声が上がった。
 割れんばかりの拍手まで。

 射場から下がった彼女は、負けた選手(五色沙織)と顔を見合わせる。
 そしてお互い、万感の想いをこめて礼をした。

 この日、三倉真弓は世界弓道大会史上初の、2大会個人優勝を成し遂げた。

 大会から時は遡り、天波(あまは)高校の校舎前。

 新入生の勧誘シーズンで、チラシを配り声をかける上級生と新入生でごった返している。その中を、小柄でメガネっ子の三倉真弓、背が高くギャルっぽい三上璃子、おっとりお嬢の三崎香菜が、きょろきょろしながら歩いていく。

 するとそこへ、女生徒たちに囲まれた、弓道着姿の涼し気なイケメンが歩いてきて、三人にチラシを渡し、

「君たち、カワイイね。弓道部見においで?」と優しく微笑み
「走らないし、体力なくてもいいし、道着でカッコ良くなって、モテるよ?ボクみたいに」と勧誘した。

 真弓は「走らない」「体力がなくてもいい」という言葉に惹かれ、武道への興味もあって、璃子と香菜を誘って弓道場へ向かう。

 建物へ近づくと、並んだ的が遠目に見える。

 弦の鳴る瑞々しい音が響き、スパァン!と的に向かって矢が吸い込まれる。
 弓道場の柵の外から覗きこむ真弓が見たのは、今にも弓を打ち起こそうとする、一人の凛とした女学生の姿だった。

 

第2話以降のストーリー

 弓道場の、よく磨かれた射場の一番手前=大前(おおまえ)の位置で、ゆっくりと弓を打ち起こし始めた女生徒を、真弓は食い入るように見つめた。

 同じ高校生とは思えない落ち着いた表情、美しい横顔、厳しい目つきに惹かれたのは勿論だが、静と動のめりはりのついた所作が、真弓の心をとらえた。
 きりきりとゆっくり弓を引き絞った女生徒は、弓と体躯で美しい十文字を形づくると、一瞬ぴたりと動きを止め、
 はじけるような弦音と共に、矢を放った。
 くるりと弓が手の中で返り、弦を外側に向ける。
 次の瞬間、どぉんっ!と空気をふるわす音と共に、矢が的に突き立った。
 その様を見届けると、女生徒はひらり、と弓を倒し、開いていた足をすっすっと閉じて、右足から下がると向きを変え、退場した。
 一連の出来事を、真弓は柵へしがみつくようにして見つめていた。

「こんなに美しくて、かっこ良くて、ほとんど動かない武道なら、自分もできるようになるかもしれない」

 真弓と昔からつきあってきた璃子と香菜は、彼女の考えていることが手に取るようにわかった。
「弓道部、体験してみる?」
 熱に浮かされたような表情の真弓に、香菜が話しかけた。
 こくこくと頷く真弓。
 そして、彼女たち3人は弓道部へ入部することになる。

 弓道部にいたのは、ひと癖もふた癖もある部員たちだった。

 1年生の女子は真弓たち3人。
 1年生の男子も3人だが、経験者の八角拓馬(はっかくたくま)と十宮健(とみやけん)があからさまに敵対し、それを残る1人のお調子者、二階堂元気(にかいどうげんき)がかき回し、雰囲気は最悪。
 2年生女子は2人。1人はアメリカ国籍の陽気なアマンダ・フランクリン。もう1人はトランスジェンダーで物静かな一ノ瀬薫(いちのせかおる)。
 2年生男子は、メガネに短髪というよく似た風貌の3人組で、見分けがつきにくい。しかも、それぞれにオタクな趣味があり、弓道部は「とりあえず入らなきゃいけないから」という理由で入部したらしく、やる気があるのかないのかよく分からない。
 要となる3年生はカリスマ性の塊で、女子主将の五色沙織(ごしきさおり)は真弓の心を射止めた、全国大会の個人部門優勝者。副主将の八角紅(はっかくべに)は八角卓磨の姉で、もう1人の3年生、九重咲良(ここのえさくら)と共に団体入賞も経験している。
 3年生男子も、部長で男子主将の四堂廉(しどうれん)は個人部門優勝者。副主将の六藤優樹(むとうゆうき)と、真弓たちを勧誘したイケメン王子の七海蒼(ななみあおい)は、やはり団体入賞を経験している。

 そんな部員たちに教えてもらいながら、弓道を始めた真弓だったが、異常なほど筋力、体力がないことが判明。1番弱い弓を引き分けるのがやっとで、弓が弱いので矢も飛ばず、的までの距離が届かない。まずは腹筋、背筋、腕立てなど基礎的な強化運動を積み重ねていくが、次第に璃子や香菜への負い目を感じるようになり、部活動が重荷になっていく。

 そんな真弓を、璃子と香菜はなじみの駄菓子屋へ誘う。
 その駄菓子屋「ひさや」は、璃子と香菜、真弓の出会いの場であり、心臓の手術を受けた真弓を支えてくれたのも、その二人と駄菓子屋のおばあちゃんだった。
 璃子と香菜は、真弓が吐き出す思いを受けとめつつ、自分たちは好きで真弓のそばにいるのだから、真弓は彼女たちを巻き込んだと思わず、弓を引ける体づくりに専念してほしいと説得する。
 真弓は、二人の言葉とおばあちゃんのくれた5円チョコを支えに、気持ち新たに体力づくりに励もうとするのだが。

 少し体力がついてきたと感じ、欲張った真弓は、こっそり強めの弓を使って練習しようとする。
 ところが、強めの弓をムリヤリ引いたために型がくずれ、頬を弦で打ち払い、盛大にメガネを吹っ飛ばし、レンズを割ってしまう。
 あまりの痛さとショックで崩れ落ち、号泣する真弓。
 その日は早めに帰ることになったものの、頬を冷やして帰り道を歩きながら、弓道部を辞める決意をする真弓。
 そして、いつもは3人で立ち寄っている駄菓子屋へ1人で入っていく。真弓の姿に驚いたおばあちゃんが「どうしたの」と尋ねる。その瞬間、真弓は「もう部活、辞めたい」と話し、泣き出した。するとおばあちゃんが、「真弓ちゃん、泣かないで。いいこと教えてあげる」と言い、店の裏へ来るようにと真弓をうながす。

 そこには細い路地があり、突き当りに立派な門構えの家があった。
「あそこの門の前まで歩いて、戻ってきてごらん。ただし、1歩1歩よ~く気をつけて歩くんだよ」
 駄菓子屋のおばあちゃんの言葉に従い、真弓が丁寧に路地を歩いて戻ってくると、おばあちゃんはにっこり笑い
「明日、道場へ行ったら、いちばーん弱い弓で、家の門のところに的があるつもりで射(う)ってごらん。そのときに、的に虹をかけるつもりで射つんだよ。はい、これ、お守り」
と言い、5円チョコを渡してくれた。

 翌日、腫れた頬に湿布を貼り、メガネなしで登校した真弓は、璃子と香菜に心配される。そして放課後、弓道場へ向かった真弓は、

「1本だけ矢を射たせて下さい。それで的に届かなければ、弓道部を辞めます」

と部長の四堂に告げる。

 許しをもらった真弓は、1番弱い弓を手に取り、習いたての射法八節を唱えながら、駄菓子屋の裏の路地を思い出し、「門にかかった的へ虹をかける」イメージで、裸眼ではぼんやりと白くしか見えない的に狙いを定める。

 皆が固唾を飲んで見守る中、たどたどしい弦音と共に大きな放物線を描いた矢は、なんと、的の中心をきれいに射抜いた。

 思わず皆が立ち上がり、1年生は大歓声を上げ、2年生は拍手し、3年生は愕然とする。
「・・・天才だ」イケメン王子の七海が呟いた。

 実はこれが、真弓の特殊能力だった。

 真弓は、心臓の病気で幼い頃から手術を繰り返し、入院生活をたびたび経験する中で、「自身の体」への興味と感覚を、知らないうちに高めていった。
 ベッドの上で体を動かせない間、周りの空間を知るためには、自分の体を延長するイメージで空間をとらえるしかなかった。その習慣がいつのまにか、ミリ単位で体の位置をとらえられる能力、そして体の感覚を通して空間や環境をとらえられる能力に育っていたのだ。

 ただ、すべてを統合して発揮できるのは、いつもというわけにいかなかった。その特殊な能力がかえって、仇になってしまうこともあった。けれども、「一射絶命(いっしゃぜつめい)」という精神をそのまま現したような真弓の射を見て以来、部員たちは真弓に一目置くようになり、真弓も体と心を、ゆっくりとではあるが鍛えていく。
 そして、昇級試験、昇段試験を経て、試合へ出られるようになるまで成長していく。

 夏合宿で1年生は、初めて「特別顧問」の存在を知ることになる。
 日本国内にわずか三名しかいない「十段」保持者で「範士(はんし)」の称号を持つ人物。
 その人物が姿を現したとき、真弓、璃子、香菜はあっと息を呑んだ。
 駄菓子屋「ひさや」のおばあちゃんとばかり思っていた老女が実は、特別顧問の「無量(むりょう)ヒサ」だったのである。
 ヒサは、部員たちの前で射を見せ、真弓や部員たちは、ヒサのような弓道をしたいと励んでいく。ライバルも現れ高校、大学、社会人と成長していく。

本文以上


※ゆづるさん、写真をお借りしました。そしてなるべく作法に則ったかたちで書きたいと思っているので、もし、専門家の視点でおかしなところがあれば、ご指摘いただけると有難いです。

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