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アメリカから”育休中の学び直し”を試みる

どうやら日本では岸田首相の産育休中のリスキリング発言が大分波紋を呼んでいるらしい。答弁を見ると首相はライフステージ問わず学びたい人には支援しますと仰っているように見えたが、議員の質問が産育休にフォーカスされていたばかりに、産育休中の学び直しを後押しと捉えられてしまったのでは?と個人的には思った。
真意は分からないし、言葉とは受け手の感じ方によるところが大きい。仮に、本当に産育休の学び直しの後押しというニュアンスだったのであれば、産育休は出産育児のためのものであって、その期間にリスキリング推進というのは大分違いますよと声を大にして言いたい。本末転倒だ。

と、こんな事を冒頭に書いておいてなんだが、先日出産育児のために半年ほど受けられていなかったコーチング講座(CTIの応用コース)をついに受講してみた。日本時間で金~日曜日、毎日9時~17時の3日間@オンラインである。この講座は金曜日が重なることが多いため、基礎コースも産休中にびくんびくんするお腹を抱えながらオンラインで受講していた。
スケジュールを見返したら、なんと出産2週間前だったことが判明。我ながらよく受けたものだ。今ならあの時の自分に声をかけたい、「もうちょっとしっかり休みなよ。」と。

応用コースの受講は日本にいる時も一度試みたが、断念した経緯がある。産後3か月頃に試みたのだが、以下のような理由で一度キャンセルせざるを得なかった。

  • 夫は仕事、私の家族も全員仕事。義理の両親(遠方)にはお願いし辛かった

  • 住んでいた区の一時保育が生後6か月以降しか利用できなかった

  • ファミリーサポートは利用登録や顔合わせ等が煩わしく、単日利用のための登録は憚られた

上述の通り、講座は少なくとも1日は必ず平日と重なる。土日は夫にお願いすることが出来るが、この平日1日がどうにもならなかったのだ。どうにかすることは出来たかもしれないが、3か月とまだ小さい息子を他人に見てもらうことは気持ち的に抵抗があったのも大きい。

そのままバタバタと渡米の準備に入ってしまい、渡米後もホテル暮らしや引っ越しやらでコーチング講座のことは忘却の彼方へ。新しい年になり、ようやくこちらの生活にも慣れ、息子も生後半年を過ぎて子育てのペースもつかめてきたので満を持して、いや、新年の勢いで受講とあいなった。

なかなかタフな3日間だったが、日本からの受講よりもハードルは低かったように思う。講座は日本時間の金~日曜日、毎日9時~17時の3日間。私がいるアメリカ東海岸の場合、木~土曜日、毎日19時~27時となる。
そう、ほとんど息子が寝ている時間なのだ。

木曜日は通常通りに生活し、最後の授乳後に久しぶりにカフェイン入りのコーヒーをチャージ。17時にシャワーを浴び、18時に食事、食事後から夫に息子をバトンタッチして19時から講座スタート。27時に講座終了とともに就寝。
金曜日は一度8時過ぎに起きて、息子の離乳食と授乳。途中夫がリモートワークなのをいいことに、息子を少しみてもらいながら、息子と共に朝寝。昼に起きて昼食をとり、また夕方にシャワーを浴びて同じ生活を繰り返す、、。

土曜日はリビングに転がり、泥のように眠り全く使い物にならない私に代わり、夫が息子の世話から食事から全て担ってくれた。時差はエグいが、土曜日の27時に講座がお開きになるため、日曜日は家族と過ごせる。

日本から受けた場合、平日1日は何等かのサポートを探さないといけないことや、土日でも隣の部屋から漏れ聞こえる息子の泣き声を気にしながら受講となることを考えると、エグい時差を加味してもアメリカから受講した方が遥かに障壁が少ない。少ない障壁も家事育児を一人称で共に担ってくれる夫がカバーしてくれるので心配事は一切ない。
本当に感謝だ。

さて、話を冒頭の産育休中のリスキリング発言に戻す。
実際に経験した身から言わせてもらうと、少なくとも産後数か月は無理だ。オムツ換え、授乳、汚れた服の洗濯、その他の家事で一日が終わる。学び直しに時間を割くなら、温かいご飯を噛み締めながら食べたい。時間を気にせず沢山眠りたい。マズローの欲求階層理論でいう第1段階が満たされなければ何も始まらないのだ。

生後半年前後になってくると、我が息子の場合なんかはかなり生活リズムが落ち着いて授乳回数も減ってきたので時間が捻出出来そうな気もする。ただ、私の場合は6月出産が故に為せる技で、子どもが生後半年を迎える前に職場復帰を迎えるママも多いだろう。
私のように講座を1日に一定時間受講となると、日本にいた場合、区の一時保育に運よくねじ込めなければ、高いお金を払ってシッターさんの手配なども考えねばならない。こういった時のハードルが下がったらとても助かる。
時差を利用なんてウルトラC、普通は使えない。

繰り返すが、産育休は出産育児のためのものである。ただの休みではないし、ましてやリスキリングのための休みでもない。だが、学び直しをしようと思った時に後押しがあればどんなに心強いか。
子育てはこれからも続く。産育休に限ったことではなく、あらゆるライフステージにおいて、学びたいと思った時にストレスフリーに学びにアクセス出来るようになれば嬉しい限りだ。





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