母が死んだ。~五夜目 純白の布~
母の死亡宣告からまだ24時間経過していないまま朝を迎える。
今朝もまたかなり暑い。
そういえば、死亡宣告を医師から受けるのは初めての経験だったと思った。
ドラマでは活舌のいい見目のよい俳優さんが医者を演じ「〇月×日午後△時××分 ご臨終です」とこぎれいな病室で家族に告げ、家族がワーッとベッドに駆け寄って泣くというシーンが多い。実際のところは医者も人間だし家族の前でそんなことハッキリは言いたくないんだと感じた。実際考えてみると、古い病院のなんの装飾もない薄暗い狭い個室でそんなことを堂々と言われても微妙なだけだ。
もっとビジネスライクなのかと思っていたが、医師も看護士も患者に死なれるのは思っていたより嫌そうで、当事者のわたしのほうがだいぶ薄情に思ったほどだった。
わからない。
わたしも他人ならその場で泣いたのかもしれない。
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