母が死んだ。~二夜目 契約という欲~
夜はほとんど眠れなかった。
泊まれる部屋はあることにはあったが1階の普段使用していない、なんとなくカビくさい部屋だった。
慣れない寝具。
熱帯夜。
エアコンから吹き出す、体を芯から冷やす乾いた風が恋しい。
そして同じく眠れない父が二階をうろうろしていて、そのたびに病院からの呼び出しかと思ってビクッとした。
タブレットに色々ダウンロードしてきていたけれどとても見る気にはなれなかった。
わたしはそれでも疲れていたので横になり目を閉じていたけど、目は冴えるばかりだ。
起きれなくなると困るので、眠剤は飲んでいなかった。
やっと少し暑さが落ち着いた明け方4時を過ぎて空が明るくなってきたころに、父が活動をはじめ外に出たりしてバタバタしていた。
何故、寝ているであろう子どもに気を使えないのかとイラッとしたが、わたしも色々気になることもあったので、起きだした。
なんとなく病院から呼び出されるのは深夜か明け方だと思っていたので、待機という意味ももちろんあった。
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