母が死んだ。~四夜目 純白とブルー~
母が倒れた連絡を受けた朝から数えて5回目の朝だった。
夜中、病院からはなんの連絡もなかった。
眠れないのも限界だったし、また暑い一日が始まると思うと憂鬱だった。
銀行の開店時間に合わせて病院の近くの銀行に向かう。
父は手持ちの現金がないことに焦っており、そわそわしながら銀行に向かった。
車の中は冷房が効いていて快適だったので移動中は体を休めることができた。
家族全員それぞれが自分のこれからの生活のことを考え始めていた。
父ですら、仕事をこのまま休み続けるのはしんどいと言い出した。
母を置いていったん自宅に帰っても、またすぐ呼び出されたらと思うと帰ることにも踏み切れない。
いつまでこの状態を続ければいいのか、不安が募るばかりだった。
なんとなく、今日何もなければ一旦解散という雰囲気で車中は重苦しい雰囲気になっていた。
どんなに身近な人が死んだとしても、社会は変わらない。
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