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読了『真田太平記(十二)雲の峰』

この半年、時間をかけてじっくりゆっくり読んできた「真田太平記」。とうとう終わりを迎えてしまった。

11巻は大坂夏の陣で盛り上がり、後は戦国の世が終わり平穏になりつつある世の中を淡々と語っていくのかと思いきや…

二代将軍・徳川秀忠による真田家潰しの脅威が待っているとは。

私の勝手なミカタで、この秀忠の真田家に対するこだわりがどっからくるのかと原因を想像する。

もしかしたら単純に父・家康から絶対の信頼を置かれた信之に嫉妬してたんじゃないかなぁ、とも思えてきた。

それに加えて著者が言うように、関ヶ原の合戦の際に、真田昌幸・幸村によって上田で足止めをくらい、秀忠は関ヶ原の本戦に間に合わなかったという大失態からの恨み辛みが残っているということもあるのだろう。

そういうある種この時代の「業務上の」しくじりが大きな傷みとなって残ることはあるだろう。ましてや恥というのが今よりも重く捉えられたのだろうから、その恥を挽回したいという思いもあったに違いない。

それでも、諜報を忍び込ませて大坂冬の陣の後の幸村との密会を理由に真田家を取り壊そうとした江戸幕府・秀忠には異常なまでの執着が漂う。

その危機を、家康直筆の密書が真田家を救うという展開は圧巻。

ただ信之も、この「勝ち」がまた秀忠の嫉妬心を拗らせてしまうという懸念は拭えなかったのではないだろうか…。

秀忠からしたら、家康という天下人である父から「自分こそが認めて欲しい」、「一心に愛して欲しい」という想いを抱いていたのではないか。しかしそんな父・家康は自分にとって目の上のたんこぶ的な真田信之に対して直筆の密書を送るほどの間柄、信頼を寄せていたという新たな事実を突きつけられてしまった形になる。

これではますます秀忠の心は荒れ模様になったのでは⁈と読んでいてヒヤヒヤした。

人間の嫉妬心というのは怖い。天下人となっても何となくそんな陰が二代目将軍の秀忠にはあったのかな、という穿った見方をしてしまった。

この戦後の徳川対真田の静かなる決戦にはワクワクさせられた。

それに関連して馬場彦四郎の振る舞い、そして最後には驚かされたし、最後の最後まで草の者・お江が仕掛ける事件はいい塩梅のスパイスとして楽しませてもらった。

終盤、上田の町に移り住んだお江は、元草の者となっていたところにも、ああこれでお江の草の者働きも終わりか…という感慨を受けた。

てっきり真田家は上田の地に居続けたと思い込んでいた勉強不足な私。

結局、秀忠は真田家に対して上田の地を離れ、松代まつしろ、現代の長野県長野市に移ることを告げる。そして明治の廃藩置県を迎えるまで10代約250年と長きに渡って存続した…。

今回、Kindle Unlimitedでちょっとどんなものかと思い読み始めた真田太平記。

まんまとその面白さに引き込まれ、残り11巻、計12巻の長編を読了。

毎度、ワクワクさせられる出来事が盛り込まれておりこの半年間、じっくり楽しませてもらった。そしてすっかり真田家のファンとなった私。

いつか、上田・沼田・そして松代(長野市)を訪れてみたいなぁ。新たな楽しみがまた増えた読書でした。

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