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水たまり | 読書日記『ものの見方が変わる座右の寓話』

子どもに絵本を読み聞かせているつもりが、つい自分がその物語に夢中になっている、私はそんな感じでちゃっかり自分が楽しんでいる。

それは大人になってから触れると小さい頃に聞き知っている物語でも全く異なる印象を受けたりするから。新たな気づきや学びを得る体験を子どもと共に受けていたりする。

そんな体験からこの著者が閃いたのかどうかはわからないが、この本はそんな教訓が詰まった寓話をまとめてしかも解説付きで編集された本だ。

非常に読み応えありタメになる話盛りだくさんの内容。著者の解説がまた鋭い視点で気付きを得る。

私が特に印象に残ったのは像と鎖の寓話。この話は先入観に囚われるなという教訓を教えてくれる。

私は「見えない鎖」に囚われていた人の1人かも知れない。3人兄弟の末っ子育ち。家族からはちょくちょく「出来ない」や「いつも遅い」と言われた。まあ実際に出来ないことや人より時間がかかることはある。しかし、このレッテル貼りが多少なりとも私の自信の無さやチャレンジ精神の障害になっていた、と今は振り返る。

親元を離れ自立する20代まではこのレッテルがなかなか拭えなかった。ちょっと出来ないとすぐに「やっぱり自分は昔から出来ないんだ」と自分で自分を信じていなかった。

この話に触れて自分にとってこの「鎖」がそういった先入観だったり思い込みでは無いか、と疑ってみた。やってみて、それで自分が出来るか出来ないかを判断するように軌道修正をした。そこから少しずつ気の持ち様であったことや、やっぱり出来ないことという様に区別をする様に変わってきた。今ではこの苦手意識がわいた時は、どっちなのかを確かめるための実験をする心持ち。そうするとワクワクするようになった。

職場のある先輩がこの行動を上手く表現していたのを思い出す。

「子どものころ、大きな水たまりを見つけたらつい石を投げ入れて遊んでみなかった?水がはじけ飛ぶ様や水面が立つ感じ。苦手だなとかこれを言ったらどうなるかなって時はそんな感じでどんな反応が起こるかを試してみたくなる、そうするとワクワクするんだよね。」

最初こう言われても私は全く共感できず、ただ私は思考停止して体が硬直するだけなんですけど!と思っていた。

しかし、この自分の中に起こる感情の変化を実験するという感覚を持てると確かにこれも一種のエンタメになるのか、と今は何となく理解できる様になった。

この本の解説にて、自分の人生が幸福だったかの問いに対して、1番は自分の人生を生きたかどうかと解いている。こんなにシンプルに人生の幸福を言ってしまえるのか!という驚きと同時に自分の中で納得感を得た。自分の人生を生きるには時にリスクを伴うが、それを乗り越え先入観にとらわれることなく生きることがまさに幸福ということなんだ、と思えると勇気が湧いた。

今晩の読み聞かせは久しぶりに寓話の絵本にしようと思う。

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