【開口】挿管で大切なことはすべて志村けんが教えてくれた。【解剖の解説】
挿管の時に「口が開かないな、、」ということありますよね。
開口がイマイチな患者さんは確かにいます。
でも、ちょっとまってください!
やり方の問題で開口できていないだけかもしれません。
この記事では最大開口させるための基本と、
その解剖学的解説をしていきます。
意外と教科書に載ってないんですね!
図解で説明します。
すぐに実践できるので試してみてください。
この記事は1600文字で 3分 程度で読めます。
開口は挿管で最も大事
挿管するときに開口を大きくするのは重要です。
視野が良くなるほか、
チューブを入れるためのワーキングスペースが広がるからです。
頭位も、もちろん重要な要素ですが
その重要性は低下しています。
なぜなら、ビデオ喉頭鏡が普及したためです。
ビデオ喉頭鏡での挿管は声帯を直視する必要がありません。
頭位を整えるのは、直視するための手段です。
スニッフィングポジションをとると、
気道の軸、3つが近づくのでした。
ビデオ喉頭鏡の挿管では、むしろニュートラル(平らな状態)の方が簡単であることも報告されています。
一方で、開口の重要性は変わりません。
ワーキングスペースは広いほうがいい。
そもそも、ビデオ喉頭鏡が口に差し込めなければ
挿管ができないわけですから。
開口は「アイーン」
では、どうやって口を大きく開けさせるのか?
それは患者さんの顎をまず「アイーン」します。
つまり、
下顎を前方移動(下顎挙上)させる。
ということです。
なぜ「まずアイーン」なのか?
解説していきます。
顎関節はまず前方滑走する
顎関節の動きは意外に複雑です。
顎関節はドアが開くように「パカッ」と開くわけではありません。
いわゆる単純な蝶番関節ではないのです。
では、どのように顎が開いていくのか。
顎関節は口が1cm程度開いたあと、
さらに開口を続けると関節窩内で下顎の関節頭(赤丸)が
一度「前方滑走」して関節結節下部まで移動します。(写真左端→中央)
この動きが「アイーン」なんです!
起きて普通に口を開けようとすると、
自然に前方滑走するわけですが
寝ているとこれは自然には起こりません。
試しに顎関節を触りながら
口をゆっくり大きく開けていってみてください。
はじめの1cmでは動きを感じられません。
しかし、そこを過ぎると関節頭が前の方に動いているのを感じられるはずです。
挿管のとき、開口が途中までしかできていないのは、
前方滑走の手前で関節の動きが止まってしまっているためです。
前方滑走がおわると、
今度は蝶番関節のようにパカッと口が開きます。
これで最大開口です。(写真中央→右端)
クロスフィンガーはあくまで「保持」
よく「クロスフィンガーで開口する。」と言いますが、誤りです。
顎関節の動きを考えると理にかなっていません。
まずは前方移動をさせる必要があるのに、その要素がありません。
あくまで最大開口後の「保持」がその役割です。
まとめ
さぁ、開口は十分にできましたか?
最後にまとめです。
●開口はワーキングスペース確保のため、挿管で重要なステップである。
●開口のコツは「アイーン」である。
●まず下顎挙上をしてから口を開けると最大開口できる。
●顎関節はまず前方滑走する。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくおねがいします。
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