見出し画像

麻酔中の鎮静度合いは脳波で判断する

麻酔中
患者さんがどのくらい寝ているか、
麻酔科医はどう判断しているの?

結論、脳波を見て判断しています。
さっそく見ていきましょう!
トップ画がなんなのかはすぐにわかります。

■ BISモニターで脳波をみる

脳波の測定というと
頭に電極をたくさんつけて測るイメージがありませんか?

画像1

てんかんの診断など詳しく分析が必要な場合は
上図のようなセッティングになります。

一方で手術室は
シールひとつです。
実はトップ画のイラストがそのシールです。
本物の写真も貼っておきます↓

画像2

BISモニターといって、
おでこ側からの脳波を拾います。

BISモニターは
患者さんの額に専用のシールを貼ると
脳波が計測できるモニターです。

画像3

貼り付けるだけなので
お手軽に脳波がとれます。

■ 鎮静が深くなると「高振幅徐波」化する

さて、この脳波
どうみたらいいのでしょう?

心電図に比べたら、
脳波に関わる医療者は少ないと思います。
馴染みが薄いですよね。

ひとつ重要なポイントを伝えると、

脳波は基本的に

覚醒している→小さく細かい波(低振幅速波)
寝ている→ゆっくりな波(徐波)
深く眠っている→大きな波(高振幅)

という特徴があります。

画像4

つまり
麻酔をかけていくと
細かい波から大きな波に変わっていくんですね。

■ BIS値はそれを数値化したもの

「細かい」とか「ゆったり」とかアバウトな表現でした。

BISモニターではその情報を「周波数」で解析します。
細かい波は高い周波数
ゆったりとした波は低い周波数です。

そこからさらに「どのくらい眠っているか」を
BIS値として0-100の数字にして表示します。
適切な麻酔状態はBIS値40-60です。


では
実際のモニター画面で見てみましょう。

画像5

この画面ではBIS値43です。
適切に鎮静されている事がわかりますね!

ちなみに
どうやってこの数字を出しているのかは
企業秘密で公開されていません。

「周波数」の情報は間違いなく使用していますが、
ほんの一部のはずです。

■ 筋電図、心電図の混入に注意

お手軽なBISモニターですが、
弱点もあります。

BISが拾う電気信号は脳波だけではありません。
筋電図や心電図も混入します。

これらは基本的に細かい波なので、
BIS値は大きくなります。

混ざっているかどうかは
モニターのEMG(筋電図)やSQI(入力信号クオリティインデックス)でわかります。

画像6

余計なものが混ざっていないか
チェックできるようになっているんですね!

注意してみましょう。
この画面ではEMG24で筋電図がちょっと混ざっていますが、SQI100で信用に値するBIS値であると読み取れます。

■さいごに

今回の記事は、
麻酔中の鎮静度合いは脳波で判断している。
という話でした。

脳波を見るときは「高振幅徐波化」しているか?
をみるのがポイントでした。

BISモニターでは、
この現象を0-100の数値で表してくれます。
40-60に保ちましょう。

モニターには筋電図や心電図も混じるので要注意です。
画面のEMGやSQIでチェックできます。

===

おつかれさまでした!
ここまでお読みいただきありがとうございます。

「ちょっとは役に立った」
「また読んでもいいかな」

と思った方、
よろしければスキ・フォローをおねがいします。
励みになります!

お読みいただきありがとうございます!頂いたサポートはコンテツ作成に還元していきます。よろしくおねがいします。