見出し画像

【挿管】介助者が大事な話【ポイントは2つ】

挿管というと、
「喉頭展開」に意識がいきがちです。

喉頭鏡でぐいっ、とやるおなじみの光景ですね。

画像1

挿管する手前の一番重要なところ、
というイメージですが
他の下準備にも注目するべきです。

他の手技にも言えることですが、
成功の9割が下準備にかかっています。

きちんと計画する、ちゃんと準備する。
それでほぼ決まり。
あとのことは細かいことなんです。

挿管の下準備、
それは「流れ」をちゃんと把握すること。

これを把握する前に、
2つおさえておいてほしいことがあるので
先に解説しますね。


まずはコンセプトをおさえる

そもそも「喉頭展開」ってなんなんでしょう?
先日、これに関連したツイートをしました。
下記をご覧ください。

ツイートの通り
喉頭展開を含め、
挿管するためのコンセプトは「声帯までのルート直線化」です。
直線化すれば、よく声帯が見える。
見えているところに挿管チューブを入れるのは容易です。

口腔軸、咽頭軸、喉頭軸の3つをそろえて
ルートを直線化するのです。

挿管のためのテクニックは
基本的にこれを実現するためのものと言っていいでしょう。

麻酔科医の動き一つ一つが
声帯までのルートを直線化」していることに注目しましょう。

*
最近はビデオ喉頭鏡の台頭により、
「声帯までのルート直線化」する必要性が減ってきています。
何しろ直接声帯がみえなくても挿管できてしまうわけですから、、。
新しい時代の挿管コンセプトを考える必要があるかもしれません。
このあたりはまた別記事で書きます。


挿管は共同作業

画像2

もうひとつ認識しておいたほうがいいことがあります。
挿管は「共同作業」であるということです。

挿管はひとりでやるイメージがあるかもしれません。
たしかに挿管自体はひとりでやる手技ですが、
よっぽどのことがなければ介助者がいます。

そして、介助者は重要な存在です。

介助者の役割

喉頭鏡の受け渡し
挿管チューブの受け渡し
スタイレットの抜去
カフのエア入れ
チューブ保持
呼吸器接続

数多くの仕事があり、
挿管者と共同で行う必要があります。

一連の流れをお互い把握し、
的確なタイミングで指示、介助をしなければ
スムーズな挿管はできません。

慣れた麻酔科医と介助者では
特に確認もなく、指示もなく
当たり前のように挿管手技が進んでいくでしょう。

慣れていない研修医の先生と介助者では
確認と指示は必須です。
やること、お願いすることを声に出しして挿管手技を進めましょう。

これに関しては
挿管研修にくる救命士さんがすばらしいです。
ハキハキと次に何をするか声出ししてくれます。

指導側としても安心感があります。

もし救命士さんの挿管研修に立ち会う機会があったら
ぜひ学んでください。


流れを確認しよう


挿管のコンセプトをおさえ、挿管は共同作業である、
という認識を持ったうえで挿管の流れを確認してみましょう。

挿管の流れ(挿管する人の目線で)

スニッフィングポジションをとる(ルートの直線化)
開口する(ルートの直線化)
喉頭鏡をもらう(共同作業)
喉頭展開をする(ルートの直線化)
挿管チューブをもらう(共同作業)
挿管する
スタイレットを抜いてもらう(共同作業)
喉頭鏡を返す
挿管チューブを保持する
カフをいれてもらう(共同作業)
呼吸器に接続してもらう(共同作業)
換気の確認
チューブをテープで固定する

いつも当たり前にやっている挿管の風景です。
ちょっと違った視点からみえましたか?

見学のときも、意識してみてください。


挿管が終わっても気を抜かない

挿管が終わって一安心。

というのが人情というものですが、そうはいきません。
慣れた麻酔科医でもつい忘れてしまうのが
「呼吸器の開始」です。

手動換気で換気の確認をしたあと、
そのままになってしまうことが多いのです。

呼吸器を開始しないことで、
呼吸をしていない状態も問題ですが、
高い圧力が肺にかかってしまうのも問題です。

現場で体験してもらうとわかるのですが、
手動換気でAPLバルブをしめると、肺に圧がかかるようになります。

そのまま呼吸器に切り替えを行わないと、
肺にかかる圧が徐々に上がっていき
やがて破裂します。

破裂は言いすぎました。
嘘ではないですが、極端な話そうなりかねません。
胸腔内圧が上がって静脈還流量が減少するのも見過ごせません。

「呼吸器の開始」

これは誰もが確認すべきことです。

それでは今回の話をまとめましょう。


まとめ

● 喉頭展開のコンセプトは「声帯までのルート直線化」。
● 挿管は介助者との「共同作業」である。
● この2つを意識して挿管の流れを確認しよう。
●「呼吸器の開始」をお忘れなく!

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくおねがいします。

もっと具体的なことを学びたい人はこちら↓


お読みいただきありがとうございます!頂いたサポートはコンテツ作成に還元していきます。よろしくおねがいします。