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自作教材紹介【理科】「動物カードを条件にあわせて分類しよう」

中学理科の生物分野で動物の特徴を学び、分類しますよね。僕も中学生の頃に「イモリ(井守)は井戸(水っぽい)から両生類、ヤモリ(家守)は家だから爬虫類、コウモリは飛ぶけど哺乳類」みたいなことを覚えていました。

今回はそのような生き物の学習に活用できるよう使ってみた、動物カードについて紹介します。


生き物の分類で生活に繋がる力ってなんだろう?

前から繰り返しお伝えしていますが、僕自身が教科の内容について教えるときに、単に知識だけではなく学んだ知識を生活に生かしたり、逆に生活に繋がるような知識や技能を身につけたりきてほしいなと思って、「この単元はどんなふうに生活と接続できるかな?」と内容を考えています。

冒頭のようにセキツイ動物の分類を暗記していた僕が、支援学校で動物について教える側になりました。そうして「これは哺乳類、これは魚類で…」みたいに機械的にそれぞれのカテゴリーを暗記するよりも、いろんな条件によって動物を分類する学習をしたいなと考えるようになりました。

そのようにいろいろな動物(事柄)を分類していく経験は、さまざまな事柄を分類すること、例えば自分自身の行動を「良いこと」「良くないこと」「どちらともいえないこと」「わからないこと」などに振り分け、反省・検討していくことに繋がるのではないかと思ったのです。

また仕事でモノの種類や大きさ、キズの有無などを判別する場面もたくさんありますよね。

(画像はGROPより)

では教材について紹介していきます。

ベン図を使って分類する

ベン図と聞いても「なにそれ?」と思われるかもしれませんが、大丈夫、図を見ればわかります。

(画像はLandgatherより)

以前別の記事でも紹介した思考ツールの1つです。

条件を最大2つまでにして、

  • Aの条件に当てはまるものは左の円の中に

  • Bの条件に当てはまるものは右の円の中に

  • ABどちらの条件にも当てはまるものは2つの円の重なった部分の中に

  • ABどちらにも当てはまらないものは2つの円の外に

それぞれ置いて分類します。こんな感じです。

(画像はしなぷすのハード製作記より)

A3サイズのベン図を用意し、その上にスライドの条件に合わせた動物カードを置いていくという形で進めていきました。

僕が作成した動物カードのデータは以下からダウンロードできます。縦半分に折ると表面と裏面が重なるようになっています。全86種類の動物で、ミジンコやサザエ、イソギンチャク、ティラノサウルス、アノマロカリスなどマニアックな生き物も入れています。

小さくてシンプルなカードが欲しくて自作しましたが、ぷりんときっずさんの生き物カードもおすすめです。情報あり版とシンプル版があります。

情報あり
シンプル

(画像はぷりんときっずより)

また動物・生物ポスターもあります。

(画像はぷりんときっずより)

動物カードを分類しよう!

ベン図とカードを準備したら、スライドの条件に合わせてカードをベン図の上に置いて分類していきます。

僕の授業ではタブレットを使って調べてもいい時間を設定していました。また間違えることに対して苦手意識の強い子どもたちのために、ヒントのスライドもつけています。

例えば、問1は「十二支の動物」という条件1つだけの問題です。いきなり理科の生物っぽくならないように、あえて外してみました笑。

カードはトラ、ウサギ、ウマ、イノシシ、ネコの5つです。「みんなは干支はなに?」「今年の干支はなにだったっけ?」なんて質問しながら、ベン図の確認もしながら進めていきます。

ヒントもどーんとわかりやすく出します。ヒントを見てから置き直すのはオッケーにしていました。

解答は1つずつ表示されます。

問2は「人間より大きい」と「人間より小さい」という2つの条件の問題です。カードはゾウ、アリ、クモ、ネコ、カバの5つです。

トンやキログラム、グラム、ミリグラム、メートル、センチメートル、ミリメートルなどいろいろな単位の確認もできますね。

(画像はちびむすドリルより)

問3は「肉を食べる」と「草を食べる」という2つの条件の問題です。カードはライオン、シマウマ、タヌキ、バッタの4つです。

雑食のタヌキという初めて「AかつB」を満たすカードが出てきました。

太陽の光を浴びた植物が光合成でエネルギーをつくりだし、その植物を草食動物が食べ、その草食動物が肉食動物を食べ…といった食物連鎖に繋がる内容ですね。

問4は「陸上で生活する」「水中で生活する」という2つの条件の問題です。カードは、カエル、イルカ、タイ、ブタ、マグロの5つです。

問5は「肺で呼吸する」「えらで呼吸する」という2つの条件の問題です。カードは、問4とカエル、イルカ、タイ、ブタ、マグロの5つです。

ここでエラ呼吸と肺呼吸について確認します。また問4とあわせてオタマジャクシからカエルに変態する両生類の特徴を押さえていきます。

問6は「今も生きている」「今は絶滅した」という2つの条件の問題です。カードは、トリケラトプス、アンモナイト、マンモス、アノマロカリス、チーター、イヌの6つです。

ここでアンモナイトの化石なんかがあると盛り上がります。そして絶滅危惧種のチーターを通して、絶滅しかけている人間の影響で生き物が地球上にたくさんいることにも触れます。

問7は「冬眠する」という条件1つだけの問題です。カードはヘビ、カメ、カエル、シマウマ、リスの5つです。

ここで両生類やハチュウ類などの変温動物やリスなどの一部のホニュウ類などは冬眠することを確認します。

問8は身体の表面が「うろこでおおわれている」「毛や羽根でおおわれている」という条件2つの問題です。カードはワニ、シロクマ、ヘビ、サケ、ダチョウ、ティラノサウルスの6つです。

問9は「卵を産む」「赤ちゃんを産む」という2つの条件の問題です。カードは問8と同じ、ワニ、シロクマ、ヘビ、サケ、ダチョウ、ティラノサウルスの6つです。

この問8、9を通して身体の表面や卵生/胎生といった分類する上での特徴を押さえていきます。

問10は「背骨がある」「背骨がない」という条件2つの問題です。カードは、カニ、ゴリラ、タコ、ホタテ、カブトムシ、サメの6つです。

背骨の有無はセキツイ動物を分類する大事なポイントですね。この問題には出していませんが、「ヘビにも骨があるの?」と尋ねてきた子がいて、ヘビの骨格画像を見せると驚いていました。写真などを見ると印象に残りますよね。

この問題のヒントを探していて見つけたCT生物図鑑というサイトがとっても面白かったのでぜひ覗いてみてください。

問題は以上です。が、同じ問題を別のカードを使ってチャレンジしてみたり、オリジナルの問題と解答を考えたりといった発展もできます。

紹介したスライドのKeynoteデータは以下からダウンロードできます。ヒントページには短い動画をアップしているものもあります。ぜひアレンジしてみてください。

カードを●●類に分類してみよう

ここからはちょっと発展的な内容です。いわゆる中学理科で学ぶセキツイ動物の魚類、両生類などの●●類に分類していきます。

問題を通してそれぞれを分類するポイントについては押さえてきていますので、まずは特定の動物について、「背骨があるか」「エラ呼吸か肺呼吸か」「身体の表面はなにでおおわれているか」「変温か恒温か」「卵生か胎生か」といったポイントで判別していきます。

分類表を使って確認しながら進めるのもいいかと思います。

(画像はぷりんときっずより)

慣れてくれば、いくつものカードをそれぞれの仲間に分類していきます。もちろん子どもたちの実態によってどこまで進めるかは変わってきます。

このような分類を確認するためのKeynoteスライドデータも作りました。よければ活用してください。

まとめ

僕たちは普段、意識せずともいろんな物事を判断し、選択するときにその物事を自分の考える条件で分類しています。

それは「良いか悪いか」だけでなくその中間の「まぁ良いけど」とか「微妙」とかもありますし、「あるときは良いけど、別のときは良くない」みたいな複雑な条件のときもあります。

最初にもお伝えしましたが、動物の分類をただ丸暗記するのではなく、1つずつ条件を丁寧に確認していくことで、分類の仕方を自分のものにするような授業にできればと考えてみた内容です。

何かのお役に立てば幸いです。