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特別支援学校からの発信「ゆるーい関わりの大切さ」

僕の個人的な子どもたちへの関わり方の話です。

自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある方々の中には、真面目で、正確で、間違いたくなくて、キチンとできていないと不安になる方がいらっしゃいます。支援学校で働く僕は、これまで、そんな子たちとたくさん出会ってきました。僕も本棚に並んでいる本や漫画の巻数が順番になっていないと気になるタイプなのでその気持ちはよくわかります(もちろん他人の家だと我慢できますが笑)。

もうちょっと緩さや余裕があると楽になるのになという思いから、子どもたちとゆるーい関わりを持ち、それが功を奏したことがあります(もちろん合わない子には強要はしません)。

そんな経験談を、つらつらと語ってみたいと思います。

間違ってもいい雰囲気づくり

真面目で優等生タイプの子たちの多くは、間違えることが苦手です。間違っているかどうかが気になり、その不安から何度も周りの大人に「これで合ってますか?」と確かめます。

もちろんその子たちの不安を解消するために「大丈夫だよ。合ってるよ」と応えることもあります。

でもそれだけではなく、「人間なんだから間違えることもあるよ。むしろ間違えても大丈夫だよ」と繰り返して伝えます。これは人的環境のユニバーサルデザインとも繋がるのかと思います。

幸いにして僕が生まれ育ち働いているのは関西地方。ボケとツッコミの文化が根付いています。

ですので、間違えても大丈夫から一歩進んで、こちらが間違えます。間違えまくります笑。

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(画像はAIEKUより)

子どもたちは他人の間違いを見つけるのが上手です笑。「違いますよ」「おかしいですよ」「なんでなんですか」子どもたちが間違いを指摘し、ツッコミはじめたらこちらのものです。

先生が間違えまくって、それを指摘されまくっているのですから、間違えることへのハードルは低くなります。間違えているポイントを指摘することも、注意や叱責ではなくツッコミになるのです。

ボケて、ふざけて、子どもたちがツッコミを覚える

本当に日々しょうもないことでボケてふざけてきました笑。

時間割表の授業カードを上下反対に貼ったり、子どもたちの名前を呼び間違えたり、違う先生のフリをしたり、めちゃくちゃ大きい(小さい)声で話したり、「失礼します」と入室する子に「失礼するんやったら帰って」と言ったり(これは吉本新喜劇の定番ネタ)…その度に子どもたちは「なんでやねん!」「なんでなんですか?!」とツッコミを入れてくれます。なんだったらノリツッコミもしてくれます笑。

いや、呆れてスルーする子もいます笑。

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(画像はAIEKUより)

でもそのツッコミは、真面目だねといわれ、間違うことを恐れて心配して過ごしてきた子の心の中にしまってあった声でもあります(ちょっと良いように言うてます笑)。ツッコミという形態だから、心の声をストレートに伝えられるようになって、いろんなことに自信を持ってチャレンジするようになった子もいます。

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(画像はAIEKUより)

でもまぁ子どもたちは大人である僕の間違いを指摘するのが本当に大好きです笑。

発言に自信のなかったのに、僕の間違いは猛烈な勢いで突っ込んでくれる子もいました。

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(画像はAIEKUより)

気持ちが乗らなかったり、イライラしたり、そんな子たちに叱ってしまうのではなく、ちょっとボケてみるといい具合のそらしになって、気持ちが変わることがあります。

「着替えない!」と怒っていた子が、上着を逆さにして「ここに脚入れて」とボケてみると、「なんでやねん!」とツッコミながら着替え始めたのはいい思い出です。

指導や訓練をゲームに変える

ある先生が朝の会や帰りの会での時間割を発表する子が、なかなか顔を上げられないので「●●くんの顔を見て言いなさい!」と指導していました。厳しく言われて硬い表情の子…。

僕の顔を見て言う番になったとき、僕は立ち上がり机の影に隠れました。僕を発見したその子は嬉しそうに僕の顔を見て「2時間目は体育です!」と時間割を教えてくれました。

次の日には、メガネを机の上に置き、「さぁどっちが本物かわかるかな?」と問いかけました。その子は惑わされずに、メガネではなく僕の瞳を見て時間割を教えてくれました。

そのまた次の日には、別の生徒の席の後ろでチューチュートレインみたいにぐるぐる回りました。グルグル回る僕を見ているような見ていないような感じで近寄ってきたその子はまた時間割を教えてくれました。

気づけばその子の相手の顔を見ないといけない練習の時間は、訳がわからないことをするメガネ先生を追いかけるゲームの時間になりました。

いぇーい(パンパカパーン)

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(画像はAIEKUより)

上手く言えないのですが、そんな関わり方を大切にしたいなと思っています。

まとめ

北風みたいに冷たい風(厳しい指導)で子どもを変えるよりも、太陽の暖かい光みたいな工夫や、ゆるーい関わり方で気づいたら子どもたちが変わってたみたいな感じっていいですよね。

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(画像はAIEKUより)

まぁ大したことは書けていないのですが…

今回はあまり考えず見切り発車で記事を書いてしまいました。[ゆるい イラスト ツッコミ]と検索して出てきたAIEKUさんの可愛いイラスト、ゆるいニワトリに夢中になり、気づいたら無駄にイラストを取り入れていました。

もちろん厳しい指導に意味がないなんて言うつもりはありません。でも厳しいだけでは身が持ちません。

ゆるさも大事だよ!なんて思いながら、普段の自分を思い返して、ちょっと恥ずかしくなりながら、ゆるい関わり方について書いてみました。

このゆるい関わり方が、「真面目にしないと!」「絶対間違えられない!」という気持ちから、自分で自分をしんどくしてしまっている子やその周りの方に届いて、ちょっとでもその気持ちが緩むようなことがあればいいなぁと思います。



表紙の画像はAIEKUより引用した、「ゆるいにわとりと槍」です。